新規で役員のアポイントを取る方法

シニアの男性ビジネスマンとオフィスレディ

宮崎 祥一 / ブランドプロデューサー

SAS Institute、Teradata、Honeywellなどの国際的企業において、アナリティクスサービスのビジネス開発を担当。海外で実績を積んだ最先端のアナリティクス手法を、日本の主要企業に導入。ハイテク、金融、医薬、通信、家電、流通、小売、飲料、食品、通販業界など、幅広い分野の企業に対する支援を行う。アナリティクスの適用範囲は、マーケティング分析、リスク管理、品質管理、需要予測、在庫最適化など多岐にわたる。データ分析とブランド構築の戦略を融合させる新しいアプローチを提供するため、株式会社アルファブランディングを創業。価格競争に陥らない強固なブランド構築をサポートしている。

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今日の論点


役員のアポイントは意外と簡単に取れる

新規開拓って大変ですよね。担当者のアポイントを取って提案をしても、その後、課長、部長、役員と話をつないでいかなければなりません。役員までたどり着くのに、2〜3年かかることもあるでしょう。

 

だったら、いきなり役員のアポイントを取ることができれば、話が早いと思いませんか。今回はその方法を解説します。

 

ちなみに「私どもの社長が、役員の◯◯様にご挨拶を差し上げたいと申しておりまして・・・」などという、しょぼいオチではありません。



目次


1. 一般的な法人営業のプロセス


ビジネスマンとグラフ

1.1 営業はプロセスが大切!?

まず始めに、営業のプロセスを確認しておきましょう。ここでは法人に対して、3,000万円の商品を販売すると仮定します。

 

3,000万円という金額を考えると、役員の決済が必要になりそうです。まずは担当者にアポイントを取り、そのあと、訪問、提案、質疑応答、社内承認、これらのプロセスを経たあと、晴れて契約となります。

 

当然、途中には担当者、課長、部長、役員と、いくつものハードルがあります。これが役員に会うまでに時間がかる原因なのです。

 

できれば途中のハードルを一切合切飛び越えて、いきなり役員に会いたいところです。しかし代表番号に電話をかけても、役員につないでもらえませんし、受付に直接出向いても、外出中だと言われて追い返されてしまいます。いきなり役員に会うことが出来ないからこそ、営業はプロセスが大切であると言われているのです。

 

しかし、本当に会えないものなのでしょうか・・・。



2. 決済者に会わなければ契約は取れない


シニアの男性ビジネスマン

2.1 決済者に直接会えば話が早い

当たり前ですが、決済者の承認がなければ、契約を獲得することは出来ません。今回のケースで言うと決済者は役員なので、出来る限り早く、この役員と会わなければなりません。

 

役員に会えば話が早いことは解っているにも関わらず、その方法が見つからない。もっと正確に言うと、いきなり役員のアポイントなどは取れないと、最初から諦めているのだと思います。

 

シンプルに考えれば、役員が必ず出向く所に足を運び、どうしても面談したくなるような話を持ちかける。これでアポイントを取ることができるはずです。

 

それでは、具体的なプロセスを解説していきます。



3. 途中のプロセスを飛ばして役員に会う方法


握手する男性ふたり

3.1 ターゲット企業を決める

まず始めに、既存顧客のリストを作ってください。次に既存顧客のライバル企業のリストを作ってください。このライバル企業リストがあなたのターゲットリストとなります。

 

もちろんライバル企業に対して、既存顧客の情報を売る・・・とか言うわけではありませんので、心配ご無用です。


3.2 必ず役員に会える場所に行く

さてターゲット企業が決まれば、その会社の役員に会いに行かなければなりません。しかし、電話をかけてもつないでもらえませんし、受付に行っても追い返されるだけです。

 

それではどうすれば良いのかと言うと、役員が必ず行かざるを得ない場所にあなたも行く・・・それだけです。

 

役員が必ず行かざるを得ない場所というのは、いくつかあります。一番最初に思いつくのが賀詞交歓会ではないでしょうか。賀詞交歓会では、確かに大企業の役員と名刺交換をすることはできますが、来場者が多すぎて、挨拶をして終わるだけです。自社の商品を説明できるような時間は、全くありません。

 

そこでお勧めしたいのが表彰式です。世の中には◯◯協会というような団体が、多数存在しています。大企業であれば、100ぐらいの団体に所属しているのではないでしょうか。これらの団体では、年に1〜2回程度、顕著な実績を残した企業を表彰しています。大企業であれば、どこかの団体から必ず表彰を受けています。この表彰式には、必ず役員が出席しますので、そこに出向いていけば、役員に会うことが出来ます。

 

ちなみに、あなたの会社がその団体に所属していなくとも、大抵の場合、1万円ぐらいの参加費を支払えば、その表彰式に出席することが出来ます。表彰式の後には懇親会がありますので、そこで役員と名刺交換をすれば、3分間ぐらいは話すことが可能です。ただ、役員は最初の30分程度で帰ってしまいますので、出遅れないように注意しましょう。


3.3 役員が関心を示すミーティングを打診する

さて、晴れて役員と名刺交換ができました。しかしそこで商品やサービスのなどの話をしてはいけません。役員はあなたの提案する商品やサービスに、全く関心を持っていないからです。だからあなたは、役員が絶対に関心を持つような話題・・・これを見つける必要があるのです。

 

答えは簡単です。役員が絶対に関心を持つ話題・・・それは競合他社の話題です。最初にこの企業をターゲットとして選んだ理由を思い出してください。あなたの会社は、既にこの会社の競合他社と取引があるのです。

 

さぁ、役員に対してこう切り出してください。

 

 「◯◯社(競合他社)と個別のディスカッションをしてみませんか?」

 

あなたの提案する商品やサービスには、全く興味はないのですが、競合他社については、強い関心を持っているのです。

 

ディスカッションの内容は、あなたの商品やサービスのカテゴリーに属する議題であればOKです。これで役員は必ず興味を示します。あとは「詳細は秘書の方に連絡します。」と伝えておけば、これでアポイントを取ることが出来ます。

 

この役員が個別のディスカッションをOKしても、既存顧客がOKするかどうかわからない・・・いえ大丈夫です。既存顧客も同じように競合他社の情報に飢えていますので、こちらも必ずこの話に乗ってきます。


3.4 個別ディスカッションを定例会にする

さて、初回のディスカッションを漫然と迎えてはいけません。次の目標は、この個別ディスカッションを、定期的に開催できるようにすることです。それには、ディスカッションを行うための議題を洗い出して、一覧表を作りましょう。コレを片手に初回のディスカッションを迎えれば、定期的に開催できること間違いなしです。

 

ただ注意していただきたいのは、今後のディスカッションにおいて、あなたの商品やサービスを説明するセッションを、勝手に設けてはいけません。この定例会は、あくまでお互いが抱えている問題点を確認し、その解決に向けたアプローチなどを話し合う場です。余計な売り込みは止めておきましょう。しばらくすると必ずどちらかの会社が、商品やサービスを説明して欲しいと言い出しますので、それまで待ってください。

 

定例的に開催ができるようになったら、契約は目の前です。競合他社が入り込む余地は一切ありません。もちろん、価格競争の心配もありません。



4. まとめ


シニアの男性ビジネスマンとオフィスレディ

4.1 役員に直接会う方法は必ずある

決済者に直接会って交渉することが、契約の近道であることは、誰もが解っています。しかし、その手段がなかなか見つからなかったのではないでしょうか。

 

今回ご紹介した方法は、私が偶然発見したものです。以前、参加したセミナーの懇親会で、某大手飲料メーカーのCMOと名刺交換をする機会がありました。その際にたまたま競合他社の話が出たので、私が個別ミーティングを設定し、橋渡しをすることになりました。 

 

思いのほか簡単にCMOのアポイントが取れたので、他のセミナーでも同じことを試してみたところ、簡単にアポイントを取ることが出来ました。それからは、この方法を使って、セールスサイクルの短縮を図っています。

 

今回ご紹介した方法以外にも、やり方はたくさんあると思いますので、みなさんも諦めずに探してみてください・・・もし見つけたら、コッソリ教えてください。