
宮崎 祥一 / ブランドプロデューサー
SAS Institute, Avanade, Teradataといった外資系アナリティクス企業でビジネス開発分野に携わりながら、海外で実績のある先進的なアナリティクス手法を日本の国内大手企業に導入することに成功。これらの企業はハイテク、通信、家電、金融、流通、小売、飲料、食品、通販業界など多岐にわたり、プロジェクト内容も購買行動分析、顧客接点分析、需要予測、在庫最適化といった幅広いテーマをカバー。2011年には株式会社アルファブランディングを設立し、データ分析とブランド構築の戦略を融合させることで、企業の競争力を強化するサポートを行っている。

今日の論点
アフェリエイトマーケティングの始め方
アフェリエイト(Affiliate)は、英語で「提携」や「関連」を意味する言葉なのですが、ブログとかを読んでいると、よく目にしますよね。個人で商品やサービスを宣伝することを副業とする方(アフェリエイター)が増えたためだと思いますが。
そのアフェリエイトですが、アフェリエイター目線でのブログ記事はよく見かけるのですが、企業目線でのブログ記事はあまり見かけませんので、今回は「アフェリエイトマーケティング」について解説したいと思います。
目次
1.1 アフェリエイトマーケティングとは何か?
1.2 なぜ注目されているのか?
2. アフェリエイトマーケティングの基本戦略
2.1 実践するための具体的なステップ
2.2 アフェリエイトプラットフォームとは
2.2 アフェリエイトプラットフォームの注意点
3. アフェリエイトマーケティングの活用事例
3.1 具体的な活用事例
4. アフェリエイトマーケティングのメリットとデメリット
4.1 メリット
4.2 デメリット
5. アフェリエイトマーケティングの急所
5.1 急所はアフェリエイターの選定
6. まとめ
6.1 今後のアフェリエイトマーケティング
1. アフェリエイトマーケティングとは?

1.1 アフェリエイトマーケティングとは何か?
アフェリエイトマーケティングとは、インターネットを活用したプロモーション活動のひとつで、企業(広告主)と提携する他の企業や個人(アフィリエイター)が商品やサービスを宣伝し、その成果に応じて報酬が支払われる仕組みのことを指します。この手法は、広告にかかるコストを成果に対してダイレクトにリンクさせることができるため、効果的なマーケティング戦略とされています。
アフェリエイトマーケティングの特徴は、広告主があらかじめ予算を設定するのではなく、アフィリエイターの活動によって生じた成果に応じて報酬を支払う点です。これにより、広告にかかるコストを効率的に運用し、ROI(投資対効果)を最大化することが可能です。
また、アフィリエイターは自身の信頼性や専門知識を活かして、フォロワーに対して広告主の商品やサービスを紹介することができます。これにより、広告主はブランドイメージの向上や、フォロワーとの信頼関係の構築につなげることができます。
1.2 なぜ注目されているのか?
アフェリエイトマーケティングが注目を集めている理由は、効果的な広告展開が可能であることや、企業が広告にかかるコストを最小限に抑えられることなど、多くのメリットがあるためです。以下に主な理由を説明します。
1. 広告費を最小限に抑えられる:アフェリエイトマーケティングでは、報酬が成果(クリックや購入など)に応じて支払われる成果報酬型であるため、広告にかかるコストを効率的に運用することが可能です。これにより、企業はリスクを最小限に抑えながら、効果的なプロモーション活動を展開できます。
2. アフィリエイターの信頼性を活用できる:アフィリエイターは、自身のウェブサイトやブログ、SNSなどでフォロワーと信頼関係を築いていることが多いため、その信頼性を活用して商品やサービスを紹介することができます。これにより、顧客はアフィリエイターのレビューや感想を信頼し、企業のブランドイメージや信頼性の向上につながります。
3. 新規顧客を獲得しやすい:アフィリエイターは様々な業界やジャンルで活動しており、独自のフォロワーや顧客層を持っています。これにより、広告主はアフィリエイターのネットワークを活用して、新規顧客を獲得しやすくなります。また、ターゲット層に合わせたアフィリエイターと提携することで、効果的なターゲティングが可能になります。
4. データに基づく戦略立案が可能:アフェリエイトマーケティングでは、広告主はアフェリエイターのフォロワーに関する行動ログ(クリック数、購入数など)を収集・分析し、戦略立案に活用することができます。これにより、広告活動の効果を把握しやすくなり、広告素材の改善が容易になります。
これらの理由によって、アフェリエイトマーケティングは多くの企業にとって魅力的なマーケティング手法として注目されています。アフェリエイトマーケティングを上手く活用して、ブランド力の強化を図りましょう。
2. アフェリエイトマーケティングの基本戦略

2.1 実践するための具体的なステップ
アフェリエイトマーケティング戦略の立案において、具体的なステップを以下に詳しく説明します。
1. 商品やサービスのターゲット層を明確にする:まずは、商品やサービスのターゲット層を明確にすることが重要です。これにより、アフィリエイターの選定やプロモーションの展開などが、効果的に行えます。ターゲット層を明確にするためには、顧客の年齢層、性別、地域、興味・関心、購買履歴などの情報を収集・分析することが大切です。
2. ターゲット層に合ったアフィリエイターを選定する:ターゲット層を明確にした上で、その層にアピールできるアフィリエイターを選定します。アフィリエイターの選定には、彼らのフォロワー層、信頼性、専門性などを考慮することが重要です。また、複数のアフィリエイターと提携することで、さまざまな角度から商品やサービスをアピールできるようになります。
3. 適切な報酬体系を設計する:アフェリエイトマーケティングの成功には、適切な報酬体系が欠かせません。報酬体系は、クリック数や成約数などの成果に応じて報酬を支払う成果報酬型が一般的ですが、企業の目的や予算に応じて固定報酬型やクリック報酬型、またそれらを併用することなども検討することができます。報酬体系を設計する際には、競合他社の報酬体系なども調べるようにしましょう。
4. アフィリエイターと緊密なコミュニケーションを図る:アフィリエイターとのコミュニケーションを大切にし、商品やサービスの魅力を十分に伝えることが重要です。アフィリエイターが商品やサービスの魅力を十分理解していれば、それを効果的にフォロワーや顧客に伝えることができます。定期的なミーティングや情報提供などで、アフィリエイターとのコミュニケーションを維持しましょう。
5. パフォーマンスを定期的に分析・評価する:アフェリエイトマーケティングの効果を最大化するためには、パフォーマンスを定期的に分析し、戦略の改善を図ることが大切です。契約しているアフィリエイターごとのパフォーマンスを収集し、広告クリック数や成約数、広告費対効果(ROAS)などの指標を用いて分析しましょう。また、アフィリエイターからのフィードバックも活用し、戦略の改善に役立ててください。
これらのステップを踏んで戦略立案を行うことで、アフェリエイトマーケティングの効果を最大限に引き出すことができます。最初から完璧な戦略を立てることは難しいですが、試行錯誤を繰り返しながら、徐々に改善していくことが大切です。
2.2 アフェリエイトプラットフォームとは
アフェリエイトプラットフォームとは、アフェリエイトマーケティングを行う企業(広告主)とアフィリエイター(アフェリエイトパートナー)をつなぐオンラインのマーケットプレイスです。以下のようなサービスを提供していますので、アフェリエイトマーケティングを始めたばかりで、まだ十分にノウハウがたまっていない企業などは、利用を検討するとよいでしょう。
1. 広告主とアフィリエイターのマッチング:アフェリエイトプラットフォームは、広告主とアフィリエイターが互いに提携を結ぶことができる場を提供します。広告主は自社の商品やサービスをアフィリエイターに紹介し、アフィリエイターは自分のチャンネル(ブログ、SNS、動画など)に合った広告主を選ぶことができます。
2. アフェリエイターの報酬管理:アフェリエイトプラットフォームは、アフィリエイターが生成した成果(クリック数、購入金額、獲得リード数など)に基づいて報酬を計算し、広告主からアフィリエイターへの支払いを管理します。これにより、双方が報酬に関するトラブルを避けることができます。
3. パフォーマンスデータの収集と分析:アフェリエイトプラットフォームは、広告主とアフィリエイターがそれぞれのパフォーマンスを分析できるように各種のデータを提供しています。これにより、広告主はマーケティング戦略の改善や効果的なアフィリエイターの選定を行うことができ、アフィリエイターは自分の活動の効果を把握し、より良いコンテンツを作成することができます。
4. サポート:アフェリエイトプラットフォームは、広告主やアフィリエイターがマーケティング活動において、さまざまな問題や不明点がある場合、それらに対するサポートを提供します。これにより、初心者でも安心してアフェリエイトマーケティングに参加できます。
2.3 アフェリエイトプラットフォームの注意点
プラットフォームを選ぶ際には、以下の点に注意しましょう。
1. 得意とする分野:プラットフォームによっては、特定の市場、業界、業種などに特化したものがあります。自社の商品やサービスに適したアフィリエイターやターゲット層が集まるプラットフォームを選ぶことで、より効果的なアフェリエイトマーケティングが展開できます。
2. プラットフォームの信頼性:プラットフォームの運営実績や評価を確認することで、信頼性の高いプラットフォームを選ぶことができます。また、他の広告主やアフィリエイターからの評判も参考にすると良いでしょう。
3. 手数料:アフェリエイトプラットフォームは、サービス提供の対価として手数料を徴収します。プラットフォームによって手数料の体系が異なるため、自社の予算やニーズに合ったものを選ぶことが重要です。
4. サポート体制:アフェリエイトマーケティングを実施すると、さまざまな課題が発生します。プラットフォームのサポート体制を確認し、自社が求めるサポートが提供されているかどうかを確認しましょう。
アフェリエイトプラットフォームを選ぶ際は、これらのポイントを考慮し、自社のニーズや目的に合ったものを選ぶようにしましょう。また、複数のプラットフォームを併用すると、幅広いアフィリエイターやターゲット層にアプローチすることができます。
3. アフェリエイトマーケティングの活用事例

3.1 具体的な活用事例
1. 美容健康商品業界での事例:美容や健康に関する商品を紹介するライフスタイルブロガーを、アフェリエイターとして提携し、効果を上げている企業が多くなっています。ブロガーは、自身の経験や試用した感想などを記事や動画でシェアし、フォロワーに商品の魅力を伝えます。信頼性の高いインフルエンサーが紹介することで、商品の認知度や購買意欲を高めることができます。
2. 旅行業界での事例:旅行情報サイト、ホテル予約サイト、航空券予約サイトなどが、旅行に関するアフェリエイターと提携し、プロモーション活動を実施しているケースもあります。アフェリエイターは、旅行先の観光情報やおすすめホテルなどを紹介し、それに関連する予約リンクを設置することで、フォロワーがそのリンクから実際に予約を行うと報酬が発生する仕組みです。このような事例では、旅行関連の専門知識を持つアフィリエイターがターゲットに合った情報を提供することで、効果的なマーケティングが実現されます。
3. IT業界での事例:B2B(企業間取引)やB2C(企業と個人取引)向けのソフトウェアやオンラインサービス会社は、アフェリエイトマーケティングを活用して製品の認知度を上げています。例えば、Webデザインツールやプロジェクト管理ツール、オンライントレーニングなどがあります。専門家や実際にサービスを利用したユーザーによるレビューや感想を通じて、製品の特徴や利点をアピールすることができます。
4. アパレル業界での事例:ファッションブロガーやインフルエンサーが、アパレルブランドと提携してアフェリエイトマーケティングを展開しています。彼らは自分のスタイルやトレンドを取り入れたコーディネートを紹介し、その中で特定のアパレルブランドの商品を取り上げます。フォロワーにファッションアイテムの着こなしや購入先を提案することで、アフェリエイト報酬を発生させることができます。
4. アフェリエイトマーケティングのメリットとデメリット

4.1 メリット
1. 広告費が成果報酬型である:アフェリエイトマーケティングでは、多額の広告費をかけることなくプロモーション活動を開始できます。また成果が出た場合のみ報酬を支払う成果報酬型であるため、企業は広告費を節約し、効果的なプロモーション活動を展開できます。
2. アフィリエイターの信頼性を活用できる:フォロワーは、自分が信頼を寄せるアフェリエイターが提供する情報や意見に共感することが多く、効果的なプロモーションが期待できます。企業は、アフィリエイターを通じて商品やサービスの価値を伝え、顧客との信頼関係を構築することができます。
3. 新規顧客獲得が容易である:アフェリエイトマーケティングでは、アフィリエイターが持つフォロワーや顧客層を活用して、ターゲットになる新規顧客にアプローチすることができます。これにより、新規顧客獲得のコストが大幅に削減され、効率的に自社の顧客とすることができます。
4.2 デメリット
1. アフィリエイター管理に手間がかかる:適切なアフィリエイターを見つけるだけでなく、彼らとの連携や管理にも時間と労力をかける必要があります。アフィリエイターが多くなると、その管理が難しくなることがありますので注意が必要です。
2. ブランドイメージを棄損するリスクがある:アフィリエイターの行動や品質が、企業のブランドイメージに悪影響を与える可能性があります。アフェリエイターが適切でない手法や情報を用いると、それが企業の評判に悪影響を及ぼし、ブランドイメージを棄損するリスクが発生します。
3. 短期的な成果の追及がフォロワーとの関係を悪化させることがある:アフェリエイトマーケティングは成果に応じて報酬が支払われるため、短期的な成果を追求しすぎると、顧客との長期的な関係が築きにくくなることがあります。顧客のニーズを無視したり、適切でない手段で売り込みを行ったりすると、関係を悪化させてしまうことがあります。
これらのデメリットを踏まえた上で、アフェリエイトマーケティングを適切に運用し、企業の成長に寄与させることが重要です。アフィリエイターの選定や管理、顧客との長期的な関係構築に焦点を当てることで、デメリットを最小限に抑えることができます。
5. アフェリエイトマーケティングの急所

5.1 急所はアフィリエイターの選定
アフェリエイトマーケティングで最も重要なポイントは「アフィリエイターの選定」です。適切なアフィリエイターと提携することで、効果的なマーケティング活動が展開できます。アフィリエイターを選定する際に注意すべき点は下記の通りです。
1. ターゲット層との一致:アフィリエイターのフォロワーや読者が、自社のターゲット層と一致していることを確認しましょう。ターゲット層と一致するアフィリエイターと提携することで、効果的に商品やサービスをアピールできます。
2. アフェリエイターの影響力:アフィリエイターが持つ影響力をチェックしてください。フォロワー数の確認や、アフェリエイターとフォロワーとのコミュニケーションなどをチェックし、アフェリエイターの持つ影響力を判断しなければなりません。
3. アフェリエイターの実績:アフィリエイターの過去の実績や成果を確認しましょう。実績があるアフィリエイターと提携することで、より効果的なアフェリエイトマーケティングが期待できます。
4. コンテンツのクオリティ:アフィリエイターが作成するコンテンツのクオリティをチェックする必要があります。クオリティの高いコンテンツを提供するアフィリエイターは、商品やサービスへの興味を喚起しやすく、ブランドに対する信頼度も高まります。
5. アフェリエイターのコミュニケーション能力:アフィリエイターとのコミュニケーションが円滑に行えることが重要です。効果的な連携を行うためには、双方の要望や課題を共有し、柔軟な対応ができるアフィリエイターを選ぶことが望ましいです。
6. 報酬プログラムへの合意:アフィリエイターとの報酬プログラムについて合意ができることも重要です。互いに満足のいく報酬プログラムを設定することで、長期的な提携関係を築くことができます。
アフィリエイター選定において、これらのポイントに注意を払うことで、効果的なアフェリエイトマーケティング活動が展開できます。
ただ、アフェリエイトマーケティングを始めたばかりの段階では、適切なアフェリエイターを見つけることは容易ではありません。パフォーマンスを評価しながら、試行錯誤を繰り返すことが大切です。
6. まとめ

6.1 今後のアフェリエイトマーケティング
アフェリエイトマーケティングは今後も成長が見込まれ、次のような可能性があります。
- AIやデータ解析のテクノロジーの進歩により、より効果的な戦略立案やアフィリエイター選定が可能になる
- マイクロインフルエンサー(フォロワー数が少ないが、ある特定の分野で高い影響力を持つ人物)の活用により、ターゲットをより絞り込んだ効果的なマーケティングが展開できる
- グローバル市場においてもアフェリエイトマーケティングが普及し、国境を越えた提携が増加することが予想される
アフェリエイトマーケティングは、企業が顧客との信頼関係を築くための有効な手段です。適切な戦略立案とアフィリエイター選定を行い、その信頼性を活用すれば、企業の信頼性向上やブランド力の強化に繋がります。ただし、アフィリエイターの信頼性や品質に注意し、長期的な顧客関係を築くことを意識することが重要です。