周年事業で失敗しない3つのポイント


今日の論点

周年事業とは、企業の節目を祝うイベントのことです。設立5周年記念を祝う・・・みたいなアレです。

 

んっ、あなた、周年事業を任されてしまったのですか・・・大変ですね。ご愁傷様です。

 

多くの企業の周年事業では、会社の歴史をまとめたカタログを制作してみたり、記念のグッズを制作してみたりと、「それって販促に役に立つの?」と聞きたくなるようなイベントが目白押しですよね。

 

米国の企業も周年事業を行いますが、その位置づけは日本の企業とは全く異なります。米国の企業が周年事業、特にイベントを行う目的はただひとつ「販促」です。

 

米国企業が行っているこのアプローチは、日本の企業の皆さんにも役に立つと思います。周年事業で失敗しないためにも、是非ご一読ください。

 



顔写真:宮﨑 祥一/CEO, Alpha Branding Corp.

宮崎 祥一 (Shoichi Miyazaki) / CEO, Alpha Branding Corp.

SAS InstituteAvanadeTeradataなどの外資系アナリティクス企業でビジネス開発に携わる。海外で実践されている AI・アナリティクス実用化プロジェクト(購買行動分析、顧客接点分析、需要予測、品質管理、在庫最適化)を、国内大手企業(流通、小売、飲料、食品、家電、機械)に導入。株式会社アルファブランディングを設立し、ブランド育成事業を開始。その後、AR事業をスタートさせ現在に至る。



振り返る若い女性

目次


1. 周年事業のイベントは販促ツールだ!


コストカットのイラストと男性

1.1 周年事業のイベントに関する意識調査

会社を設立して5年目や10年目などで実施される周年事業のイベントですが、そもそも社員はどのように思っているのでしょうか。下記は周年事業のイベントについての、アンケート調査です。

 

<周年事業のイベントは必要か?>

回答 割合

必要だと思う

18.7%

どちらかといえば必要だと思う

41.0%

どちらかといえば必要ない

19.9%

必要ない

12.6%

わからない

7.6%
無回答 0.1%

※小数点第二位以下を四捨五入

グラフ:周年イベントは必要か、必要だと思う(18.7%)、どちらかといえば必要だと思う(41.0%)、どちらかといえば必要ない( 19.9%)、必要ない( 12.6%)、わからない(7.6%)

出典:周年事業には企業日必要?それとも不要?, (周年事業ラボ 2017)

出典のデータを元に、弊社にてグラフを作成

 

「どちらかといえば必要ない」+「必要ない」

= 19.9% + 12.6% = 32.5%

 

3割以上の社員が周年事業のイベントを「必要ない」と思っている訳です。企業では年間に多くのイベントを開催しますが、その中でもダントツに無駄だと思われているのではないでしょうか。


1.2 なぜ周年事業は無駄だと思われるのか

この3割上の社員から必要ないと思われている周年事業のイベントですが、具体的に何をやっているのでしょうか。周年事業における取り組みに関するアンケート調査を見てみましょう。

 

<周年事業における取り組み>

回答 割合

社内イベント

61.6%

周年記念誌の制作

45.7%

社外向けのイベント

37.6%

記念品の制作

31.3%

歴史などのアーカイブ・編さん

22.6%

マス向けのプロモーション

10.7%

Webサイトの構築・リニューアル

10.0%

その他

1.5%

※小数点第二位以下を四捨五入

グラフ:周年における取り組み、社内イベント(61.6%)、周年記念誌の制作(45.7%)、社外向けのイベント(37.6%)、記念品の製作(31.3%)、歴史などのアーカイブ・編纂(22.6%)、マス向けのプロモーション(10.7%)、Webサイトの構築・リニューアル(10.0%)、そのた(1.5%)

出典:100年企業ほど周年事業への取り組みが真剣, (周年事業ラボ 2017)

出典のデータを元に、弊社にてグラフを作成

周年事業における取り組みの第一位は「社内イベント」です。優秀社員の表彰などを行うのですが、嬉しいのは表彰された社員だけで、表彰されない大部分の社員にとってこのイベントは、拍手をする場でしかありません。「来年は私が優秀社員賞を取るぞ!」と思わせるような動機づけができればいいのですが、残念ながらそのような仕掛けはありません。

 

第二位は「周年記念誌の制作」です。社長からの感謝の言葉や、会社の歴史を振り返る座談会などが掲載されます。この記念誌ですが、何かの役に立つのでしょうか。そもそも誰か読みたい人はいるのでしょうか。もらって直ぐに捨てるのもアレなので、後日、不要な書類と一緒にシュレッダーです。

 

3割以上の社員が周年事業のイベントを「必要ない」と思う気持ちも解る気がします。



2. 米国企業の周年事業への取り組み


会議室(4人の男女)

2.1 米国企業にとって周年事業は販促ツール

米国企業も周年事業のイベントを行いますが、その目的は社員への慰労ではありません。あくまで販促が目的です。売上を増やすために実施するのですから、当然ながら社外向けのイベントを開催します。

 

米国企業の営業マンの多くは、アカウントプランと呼ばれる営業計画書を作成します。今後の3カ年の営業方針やスケジュールなどを細かくプランニングするのですが、その中には周年事業の活用も入っています。

 

私が外資系IT企業に勤めていたときに、実際に行っていた周年事業の活用方法をご紹介したいと思います。

 

 

<周年事業イベントの活用方法>

周年事業のイベントではユーザーの表彰が行われますが、表彰される企業は「スゴイ先進的な活用事例を世に送り出したから」ではありません。営業マンが今後3カ年で売上を立てるために、事例として横展開できる「地味だけど利益生む活用方法」が表彰されるのです。

 

営業マンはこの表彰されたユーザーを中心として、定期的な勉強会を開きます。その勉強会に横展開できそうな見込み客を、ドンドン集めてくるのです。日本の企業は他の会社が何をやっているのかを、とても気にしますので、誘えば二つ返事で乗ってきます。また、表彰された企業からの生の声は、営業マンからの提案と比べて、何倍もの効果がありますので、短期で契約を受注することも可能になってきます。

 

このように外資系IT企業では、周年事業を販促ツールとして活用します。従って、どうすれば効果的に活用することができるのかとう議論はあっても、これを「必要ない」と考える社員はいません。日本でもこのような使い方が増えていけば、周年事業に対する見方も変わってくると思います。



3. これで周年事業を成功させろ!


オフィス(4人の男女)

3.1 周年事業で守るべき3つのポイント

周年事業の企画を進める上で、意識しておくべきポイントが3つありますので、まとめておきます。

  1. 周年事業は販促ツール
  2. 過去への感謝
  3. 未来へのビジョン

それぞれ詳しく見ていきましょう。

 

1.周年事業は販促ツール

周年事業が目指すゴールは「販促」です。どうすれば売上を増加させることにつながるのか、常にそれを念頭に置いて企画を考える必要があります。

 

従って周年事業の企画では、営業マンとアカウントプランの内容を検討しながら、進めていくことが大切です。企画担当者が勝手に進めてはいけません。

 

 

2.過去への感謝

2つ目の「過去への感謝」とは、具体的にはユーザーを表彰するということです。建前上は感謝の意味を込めて表彰するのですが、実際のところは、横展開できる事例を持った企業を表彰するのです。

 

事前に決められた賞があって、どの企業が受賞に相応しいのかを決めるのではありません。それとは逆に、まず受賞させる企業を決めて、その後にその企業に相応しい賞のタイトルを決めるのです。

 

 

3.未来へのビジョン

3つ目の「未来へのビジョン」とは、これから会社が向かっていく方向性を指し示すということです。次の2つのメッセージを比べてみてください。

 

■メッセージA

  • これが新しいPCです
  • 美しいデザイン、簡単な操作性、堅牢なセキュリティ
  • 1台いかがでしょうか?

 

■メッセージB

  • 自分が世界を変えられると、本気で信じている人たちに、私はツールを届けたい。
  • 美しいデザイン、簡単な操作性、堅牢なセキュリティ
  • これが新しいPCです
  • 1台いかがでしょうか?

 

メッセージAは一般的なPCメーカーのCMで、メッセージBはAppleのCMをベースに私が加筆修正したものです。メッセージBは心に響くと思いませんか。ビジョンを伝えるということは、企業の信念や理念を伝えるということです。商品の機能やスペックを詳細に説明するよりも強く心に響くのです。

 

 

 周年事業のゴールである「販促」に加えて、「過去への感謝」と「未来へのビジョン」を意識しながら企画を検討すれば、大きく外すことはありません。儲かる仕組みとして周年事業を定義し直すと、社内の協力も取り付けやすくなります。



4. まとめ


オフィスで歓喜する従業員たち

4.1 周年事業は絶好の販促ツール

3割上の社員から必要ないと思われている周年事業のイベントですが、これを販促のためのツールと捉えることで、全社を上げて積極的に取り組むことが可能になります。

 

販促のツールとして実施する場合、営業部門を始めとして、さまざまな部署との調整が必要となります。各部門とは綿密な連絡を取りながらも、周年事業担当者はこのプロジェクトの責任者ですので、積極的に牽引することを忘れないでください。

 

海外の企業では一般的に行われており、実際に効果が出ていますので、是非あなたの会社でも取り入れてみてください。

 

 

 

(話は変わりますが、アカウントプランって、どうでも良い部分に突っ込んでくるヤツがいるので、口頭で触れない情報は一切書かない方がいいですよ。)

 

 

<参考サイト>