
今日の論点
なぜ高級ブランドは高額でも売れるのか?
今回は「クチコミ客を増やす6つのステップ」のステップ4「価値の総和」を解説いたします。
みなさん「高級ブランド」と聞いて何を連想しますか?
エルメス、グッチ、フェラーリ、ローレックスなどでしょうか。一般的な商品と比べると「ホンマに誰か買うの?」と、ウッカリ声が出るような値付けとなっています。
しかし、購入する人たちは少なくありません。高級ブランドと一般的な商品との価格差は、一体どこで生まれるのか、一緒に考えてみましょう。
目次
1.1 価格と価値の関係性
1.2 情緒的な価値を積み上げて最大化を図る
2. 価値を積み上げる理由
2.1 簡単に模倣できない
2.2 ストーリー性を付加できる
2.3 クチコミが期待できる
3. まとめ
3.1 価値の総和を最大化する
1. 価値の総和を最大化しろ!

1.1 価格と価値の関係性

はじめに「価格」と「価値」の関係性についてご説明します。販売側が設定した金額のことを「価格」と呼び、顧客側が感じた有用性のことを「価値」と呼びます。
商品やサービスを、ある価格で購入したときに、購入前に想像していたよりも「大きな価値があった」と感じると、顧客満足度が高まります。「価値」が「価格」を上回れば上回るほど、大きな満足度が得られるのです。
上記の例でいうと、商品Aは金額に見合った価値を提供出来ていないので、リピートされることはありません。一方、商品Cの場合は顧客満足度が高く、仮に少し値上げしたとしても、リピートしてもらえることになります。
1.2 情緒的な価値を積み上げて最大化を図る

上記の図をご覧ください。価値を積み上げて、その総和を最大化すれば、顧客満足度が高まります。
商品が価値を持っているにも関わらず、それを顧客に伝えていないケースは多く見られます。たとえばワインを例にすると、下記のような価値が考えられます。
- テレビで取り上げられたことがある
- 王室御用達
- 雑誌に取り上げられたことがある
- 有名人が飲んでいる
- 品評会で賞をもらったことがある
なにかの賞を受賞していたり、メディアに取り上げられたりしたのであれば、それが過去の話だとしても、販促資料などを使って顧客にアピールした方が良いでしょう。
また、新たに価値を追加する方法も、いくつかあります。例えば、食品メーカーがよく使用する「モンド・セレクション賞」なども、そのうちのひとつです。十数万円の費用を支払えば誰でも審査を受けることができる上、金賞の受賞率は約50%ですので、かなりコスパの高いプロモーションの方法だと言えます。
あと、有名人が飲んでいるとうのも、健康食品などではよく見かけるプロモーションです。確かに飲んでいるのでしょうが、ギャラをもらって仕事として飲んでいるのです。
価値を付与する方法は、探せば結構見つかるものです。人によって価値の基準は異なりますので、一概には言えないのですが、伝えていない価値を集めて、それを全て顧客に伝えることは、競合他社とのポジショニングを考える上でも、有効な手段となり得ます。
2. 価値を積み上げる理由

2.1 簡単に模倣できない
価値を積み上げるにあたって重要なことは、機能的な価値ではなく情緒的な価値を積み上げるということです。競合他社から見ると、機能的な価値は模倣が比較的容易です。競合の商品を分解して構造を調べるといった、リーバースエンジニアリングが実施できるからです。
一方、情緒的な価値は模倣が難しく、また比較したところで優劣をつけがたいものですので、独自性をアピールすることが出来ます。
2.2 ストーリー性を付加できる
情緒的な価値には、必ずその背景にストーリーが存在します。仮にどこかの小さな国の王室に、自社商品を納入したことがある場合、そこに至るまでには、紆余曲折があったはずです。それをドキュメンタリーとして文章や動画に落とし込めば、差別化要因とするには十分です。
またドキュメンタリーの内容としては、成功体験でなくとも構いません。実際、あなたがテレビで見るドキュメンタリー番組は、解雇された野球選手、売れない芸人、リストラされたサラリーマンだったり、成功とは程遠いストーリーでだと思いませんか?
ドキュメンタリーとしてストーリーを伝えることは、興味や関心を持ってもらいやすいことに加えて、長期に渡って記憶に残るため、プロモーションとしては、比較的効果を出しやすい方法です。
2.3 クチコミが期待できる
価値が価格を上回った場合、顧客満足度が高まります。この満足度がある一定の閾値を超えた場合、人はそれを誰かに伝えたくなります。自分の感動や興奮を、誰かと共有したくなるのです。
Instagramに料理の写真をアップするときとは比較にならないぐらい、熱が入ったものになります。「絶対にオススメ」とか「騙されたと思って試してみろ」などといった言葉が使われることになります。
ニールセンの調査によると、約9割の人が「友人の推奨を信頼する」と回答していますので、クチコミによる集客を期待することができるようになるのです。
3. まとめ

3.1 価値の総和を最大化する
自社の商品をよくよく調べてみると、顧客に伝えていない価値が少なからず見つかるはずです。それらを丹念に拾っていき、顧客に届けることができれば、商品の「価格」を大きく上回る「価値」を提供することができるのです。
一歩一歩、丁寧に積み上げて「価値の総和を最大化する」ことが、独自性の高い価値提案となり、引いてはブランド力を高めることにつながります。