顧客と直接つながるSNSマーケティングとは

街中でスマートフォンを見る二人の女性

宮崎 祥一 / ブランドプロデューサー

SAS Institute、Teradata、Honeywellなどの国際的企業において、アナリティクスサービスのビジネス開発を担当。海外で実績を積んだ最先端のアナリティクス手法を、日本の主要企業に導入。ハイテク、金融、医薬、通信、家電、流通、小売、飲料、食品、通販業界など、幅広い分野の企業に対する支援を行う。アナリティクスの適用範囲は、マーケティング分析、リスク管理、品質管理、需要予測、在庫最適化など多岐にわたる。データ分析とブランド構築の戦略を融合させる新しいアプローチを提供するため、株式会社アルファブランディングを創業。価格競争に陥らない強固なブランド構築をサポートしている。

宮崎祥一のプロフィール写真


今日の論点


SNSは既に生活に欠かせない存在!?

みなさん、SNSって使っていますか?

 

積極的に投稿はしないまでも、毎日アクセスして他の人の投稿を見ているという方は、多いのではないでしょうか。

 

今やSNSは人々の生活に欠かせない存在となってきており、企業もSNSマーケティングを活用することが、ほぼ必須と言って良い状況だと思います。

 

今回は、企業がSNSマーケティングを活用して、顧客との信頼関係を築く方法を検討し、具体的な事例やメリット・デメリットについても解説していきます。



目次


1. SNSマーケティングの概要


店内でスマートフォンを見る麦わら帽子をかぶった笑顔の女性

1.1 SNSマーケティングとは?

SNSマーケティングとは、ソーシャルメディアを活用したマーケティング手法のことを指します。Facebook、Twitter、Instagramなどのプラットフォームを利用して、企業は顧客と直接的につながり、情報発信やコミュニケーションなどを行うことができます。SNSマーケティングの主な目的を見ていきましょう。

 

1. ブランド認知度の向上:SNSを通じて情報を発信することで、多くの人々にブランドや製品について知ってもらうことができます。

 

2. 顧客とのエンゲージメントの促進:顧客とのコミュニケーションを通じて、関心や共感を引き出し、エンゲージメントを高めます。

 

3. リード獲得・コンバージョンの促進:SNS上でのプロモーションや広告を活用して、見込み客を獲得し、購入や問い合わせなどのアクションを促します。

 

SNSマーケティングは、現代のマーケティング戦略において重要な位置を占めています。適切な戦略と実行を通じて、ブランドの認知度や顧客エンゲージメントを高め、最終的に収益改善につなげることが期待されています。


1.2 SNSマーケティングが注目される背景

それでは、なぜいまSNSマーケティングに注目が集まっているのか、いくつかの要因を見ていきましょう。

 

1. 顧客とのダイレクトなコミュニケーションが可能:SNSマーケティングでは、顧客とのリアルタイムでのコミュニケーションが可能です。これにより、顧客の課題やニーズを直接把握し、商品やサービスの改善を図ることができます。また、顧客からの質問に対して迅速に対応することで、信頼関係を築くことができます。

 

2. 商品やサービスの情報を効率的に拡散できる:SNSを活用することで、情報が瞬時に拡散され、多くの人々にリーチすることが可能です。また、SNS上でユーザーが自ら商品やサービスの情報をシェアしたり、クチコミを広めたりすることで、広告費を抑えつつも、効果的なプロモーションを実現することができます。

 

3. 企業や経営者のビジョンや信念を伝えることができる:SNSは、企業の商品やサービスだけでなく、企業や経営者自身の価値観や考え方を伝えることが大切です。SNSを活用して、企業や経営者のビジョンや信念を伝えることで、顧客との共感を生み出し、ブランドイメージの向上につながります。

 

4. データの入手と効果測定が容易:SNSプラットフォームは、各種データを提供しており、これを活用することで効果測定が容易になります。投稿のリーチやエンゲージメント、コンバージョンなどの指標をもとに、戦略の改善や最適化を行うことができます。

 

 これらの理由から、SNSマーケティングは現代のマーケティング戦略において重要な役割を担っており、企業が顧客との信頼関係を強化し、収益性の改善を図るためには、欠かせない手法のひとつとなっています。


1.3 SNSサービスの種類

現在、数多くのSNSサービスが利用されていますが、主だったサービスを一緒に確認してきましょう。

 

Facebook:

  • 特徴: 世界最大のSNSで、主に知人や友人とのコミュニケーションや情報共有に活用されています。企業は独自のページを作成し、情報発信や広告を出稿することができます。
  • 利用者: 幅広い年齢層のユーザーが利用していますが、若い世代の利用率は徐々に減少傾向にあります。

 

Twitter:

  • 特徴: 短い文章を投稿することで、情報の共有を図るSNSです。リアルタイム性が高く、速報性のある情報や意見交換が盛んにおこなわれています。ハッシュタグ機能を活用することで、トレンドや関心事をリアルタイムに把握することができます。
  • 利用者: 10代から40代までの幅広い年齢層が利用しており、日本では特に若い世代の利用率が高くなっています。

 

Instagram:

  • 特徴: 写真や動画を中心にシェアするSNSで、ビジュアル重視のコンテンツが好まれます。ストーリーズ機能やショッピング機能など、数多くの機能が用意されており、企業にとってもプロモーション活動を行いやすいプラットフォームのひとつです。
  • 利用者: 主に10代から30代までの世代が利用しており、特に女性ユーザーが多いのも特徴のひとつです。

 

LinkedIn:

  • 特徴: ビジネスやキャリアに特化したSNSで、プロフェッショナルな情報交換や人脈構築が行われています。企業は採用活動や情報発信に活用することができます。
  • 利用者: 20代から50代のビジネスパーソンが中心です。

 

TikTok:

  • 特徴: ショートムービーを共有するSNSで、若者を中心に爆発的な人気を誇っています。エンターテイメント性の高いコンテンツが好まれ、企業もブランドイメージ向上や製品宣伝に活用しています。
  • 利用者: 10代から20代の若い世代が中心で、特に10代の利用率が高くなっています。

 

LINE:

  • 特徴: メッセージを中心としたコミュニケーションツールで、友人や家族とのチャットやオンライン通話が主な利用目的です。企業は公式アカウントを作成することで、顧客サポートやクーポン配布などを行うことができます。
  • 利用者: 日本を中心に10代から60代までの幅広い年齢層が利用しており、国内での利用率が非常に高くなっています。

 

SNSサービスはそれぞれ異なる特徴や利用者層がありますので、企業がSNSマーケティングを行う際には、自社のターゲット層やコンテンツに適したプラットフォームを選択することが重要です。また、複数のSNSを組み合わせて活用することで、より効果的なマーケティングを展開することが可能となります。



2. SNSマーケティングの基本戦略


カフェでパソコンの作業をする手元

2.2 SNSマーケティングの戦略立案について

SNSマーケティングの戦略を立案する際に、下記の内容を検討する必要があります。もちろん企業が置かれている環境は、それぞれ固有のものですので、自社向けにアレンジすることが大切です。

 

1. コンテンツ戦略:コンテンツ戦略では、投稿の目的やターゲット層に合わせて、どのようなコンテンツを提供するべきなのか、またどのようなフォーマットが必要なのかを検討します。例えば、商品の特徴や使い方を伝えるためには動画コンテンツが良いのか、それとも詳細の解説がついたブログ形式のコンテンツが良いのか、ターゲット層のニーズに配慮してコンテンツ戦略を立案する必要があります。また、コンテンツを配信するタイミングも重要な要素ですので、タイミングや頻度を管理する必要があります。

 

2. ターゲティング:自社の商品やサービスの特性を把握し、顧客とするターゲット層を絞り込む必要があります。全ての人に向けたコンテンツは、誰からの関心も得られない可能性があります。またターゲット層が抱える課題や悩みの分析も、非常に重要です。この掘り下げが浅いと、ターゲット層に刺さるコンテンツを作ることはできません。

 

3. コミュニケーション:SNSマーケティングにおいては、顧客とのリアルタイムでのコミュニケーションが重要になってきます。例えば、Twitterでは速報性のある情報や、Instagramではストーリーズ機能を活用したプロモーションの裏側などの投稿が効果的です。また、顧客からのフィードバックや対して丁寧かつ迅速に対応することで、顧客満足度を向上させることができます。

 

4. 広告活用:SNSマーケティングでは、自社の投稿だけではなく、SNS広告も重要な要素のひとつです。SNSサービスによって違いはありますが、広告を配信する対象を絞り込むことが容易であるため、費用対効果が高いプロモーション活動を期待することができます。

 

5. 効果測定・最適化:SNSマーケティングにおいては、パフォーマンスをチェックすることが容易であるため、これを積極的に活用して、必要に応じて戦略の改善を図りましょう。改善結果も直ぐにデータとして把握することができるため、戦略の最適化を図ることも容易です。

  

SNSマーケティングの成功には、継続的な取り組みが不可欠です。定期的にデータを分析し、戦略を見直して最適化を図ることで、長期的な信頼関係の構築や収益改善に繋がります。



3. SNSマーケティングの具体的な活用事例


切り株の上のリスとそれを撮影する小型カメラ

3.1 具体的な4つの活用事例

1. GoPro:米国のアクションカメラメーカーであるGoProは、ブランド認知度と製品の魅力を広めるために、SNSマーケティングを活用しています。具体的には、ユーザーが撮影した映像を自社の公式SNSアカウントでシェアし、エキサイティングなアクション映像を拡散させています。また、ユーザーが投稿した映像をリポストすることで、顧客とのエンゲージメントを高め、製品の魅力をアピールしています。

 

2. Xiaomi:中国のスマートフォンメーカーであるXiaomi(シャオミ)は、競合他社に対抗するため、ブランド認知度の向上が課題でした。XiaomiはWeiboやWeChatなどの中国国内のSNSを活用し、製品情報やキャンペーン情報を発信しました。また、既存顧客とのコミュニケーションを重視しており、オンラインイベントなどを積極的に実施することで、顧客とのエンゲージメントを高めめています。

 

3. トヨタ:若年層に対するブランドイメージの改善と、新しい製品の認知度を高めるために、SNSマーケティングを活用しています。トヨタはInstagramやTwitterなどで、若年層にアピールするデザインや機能に関する情報を発信するなど、SNSを積極的に活用しています。また、インフルエンサーとのコラボレーションを進め、投稿や動画を共有することで、企業と顧客の信頼関係を深めています。

 

4. Oreo:Oreo(オレオ)は米国のNabisco(ナビスコ)が販売するクッキーのブランドです。新たなブランドイメージとその認知度を高めるために、SNSマーケティングを活用しています。例えば、「Daily Twist」キャンペーンでは、毎日新しいオレオのアート作品を投稿し、ユーザーからの反響を集めました。また、「Oreo Dunk Challenge」キャンペーンでは、オリジナルのオレオの食べ方を投稿してもらい、その中から優れたアイデアを共有することで、エンゲージメントを高めるなど、SNSを積極的に活用しています。

  

これらの事例では、各企業がSNSマーケティングを通じて課題に取り組み、ブランド認知度の向上や顧客とのエンゲージメントの強化を実現しました。SNSマーケティングは、ターゲット層とのコミュニケーションを通じて、企業の課題解決や成果向上に貢献する有効な手段であると言えます。



4. SNSマーケティングのメリットとデメリット


メリットとデメリット

4.1 SNSマーケティングのメリット

1. 顧客と直接的にコミュニケーションできる:SNSを利用することで、顧客と直接的にコミュニケーションが取れます。これにより、顧客の課題やニーズを把握しやすくなり、商品やサービスの改善や、新たなアイデアの創出が容易になります。また、顧客からの質問に対して丁寧かつ迅速に対応することで、信頼関係を築くことができます。

 

2. リアルタイムで情報を発信できる:SNSはリアルタイム性が高く、投稿したコンテンツが瞬時に拡散されることも少なくありません。これにより、タイムリーな情報発信やプロモーションが可能となり、より多くのユーザーにリーチできます。

 

3. データ分析が容易:SNSプラットフォームでは、広告の効果を測定するためのデータを提供しています。投稿のリーチやエンゲージメント、コンバージョンなどの指標を分析することで、戦略の改善や最適化を行いやすくなります。

 

4. コスト負担が少ない:SNSマーケティングでは、一般的な広告媒体と比較して、低コストで情報を発信することができます。ユーザー自身がコンテンツをシェアし、クチコミにおける効果を得られるなど、広告予算を抑えながらも、効果的なプロモーションが可能となります。 


4.2 SNSマーケティングのデメリット

1. 競合他社との差別化が難しい:多くの企業がSNSマーケティングを行っているため、競合他社との差別化が難しくなることがあります。また競合他社がどのようなSNSマーケティングを実施しているのかについて、容易にチェックできるため、簡単に模倣することができるからです。そのため、独自性のあるコンテンツや戦略を考案することが求められます。

 

2. 悪質なコメントや批判に対処する必要がある:SNSではネガティブなコメントや批判に直面することがあります。これに適切に対応しなければ、企業のイメージが悪化する可能性がありますので、迅速な対応が求められるケースが多いため、事前にコミュニケーション戦略や対応策を立てておくことが重要です。

 

3. コンテンツの制作に時間と労力がかかる:SNSマーケティングでは、ターゲット層に響く魅力的なコンテンツを作成することが求められますが、これには時間と労力がかかります。SNSマーケティングに投入できるリソースを検討しながら、投稿のタイミングや頻度を管理しなければなりません。

  

4. SNSプラットフォームの変化に対応する必要がある:SNSプラットフォームは常に進化しており、アルゴリズムの変更や新機能の追加などが頻繁に行われています。これに柔軟に対応することが求められるため、企業は常に最新の情報をキャッチアップしなければなりません。

 

5. 目に見える効果が出るまでに時間がかかる:SNSマーケティングでは、フォロワー数の増加やエンゲージメントの向上など、目に見える効果が出るまでに時間がかかることがあります。そのため、短期的な結果を求める場合には、他のマーケティング手法と併用することが効果的です。また事前にステークホルダーに説明をしておくことも重要です。

 

 これらのメリットとデメリットを総合的に考慮し、企業の目的や状況に応じて、適切なSNSマーケティング戦略を立案し、実行することが重要です。



5. まとめ


CGの画面をタップする女性の手

5.1 SNSマーケティングの将来展望

SNSの利用者数や機能が今後も拡大することが予想されるため、SNSマーケティングはますます重要性を増すと予想されます。特にAIの活用や、AR / VR(拡張現実 / 仮想現実)を活用したマーケティング手法など、今後のトレンドとなることが期待されます。

 

SNSマーケティングは、企業が顧客との信頼関係を築くために重要な手段です。効果的なSNSマーケティング戦略を立案し、適切なプラットフォームやコンテンツを活用して、顧客とのコミュニケーションを図らなければなりません。

 

今後のSNSマーケティングの可能性を見据え、新しいテクノロジーやマーケティング手法を取り入れることで、より効果的に施策を実行していくことが重要です。