動画で顧客を囲い込め!

カメラを構える白い服を着た女性

宮崎 祥一 / ブランドプロデューサー

SAS Institute、Teradata、Honeywellなどの国際的企業において、アナリティクスサービスのビジネス開発を担当。海外で実績を積んだ最先端のアナリティクス手法を、日本の主要企業に導入。ハイテク、金融、医薬、通信、家電、流通、小売、飲料、食品、通販業界など、幅広い分野の企業に対する支援を行う。アナリティクスの適用範囲は、マーケティング分析、リスク管理、品質管理、需要予測、在庫最適化など多岐にわたる。データ分析とブランド構築の戦略を融合させる新しいアプローチを提供するため、株式会社アルファブランディングを創業。価格競争に陥らない強固なブランド構築をサポートしている。

宮崎祥一のプロフィール写真


今日の論点


動画を使ったマーケティングについて

みなさんYouTube見てますか (^^)/

 

YouTubeの利用者数は年々増加傾向にあり、2021年1月時点で、月間アクティブユーザー数は世界中で20億人を超えています。特にCOVID-19によって自宅待機が増加した2020年に急増したようですね。

 

また、毎日数十億の動画が再生されていますので、なんとかプロモーション活動に役立てたいものです。今回は動画の活用方法について、解説していきたいと思います。



目次


1. 動画でファンを獲得するには


白いハート形のオブジェを持つマフラーをまいた女性

1.1 オーセンティック マーケティングとは

動画について解説する前に、最近米国で注目を集めているオーセンティックマーケティング(Authentic Marketing)について解説しておきます・・・これを知っておくことは、とても大事です。

 

オーセンティックマーケティングとは、企業が自身のビジョンや信念を自然な形で顧客に伝え、真のつながりを築くマーケティング手法のことを指します。またこの手法では、広告や宣伝よりも企業自身が発信する情報が重視されるために、企業と顧客のコミュニケーションがより密接になります。

 

これらを実践するためには、企業は自己分析を行い、自己の強みや特徴を見つけ出し、それを活かしてブランディングを行う必要があるのです。企業が自己のビジョンや信念をいかに自然形で伝えるのかが、最も重要なポイントになってきます。


1.2 動画でビジョンや信念を伝える

このオーセンティックマーケティングを実践するには、イベントやチラシなどいくつかの媒体が活用されますが、その中でも動画は、短時間でメッセージを伝えることができるため、効果的なツールの一つとして注目されています。

 

特にCovid19以降、オンラインでの動画視聴の需要が急増しており、多くの企業がマーケティング活動に動画を取り入れることが多くなってきています。また、動画はスマートフォンで手軽に視聴できることから、SNSやモバイルアプリでのシェアがしやすく、より多くの人たちに認知してもらうことができます。

 

では具体的にどのように動画を活用するのが良いのでしょうか。この後、動画を使ったオーセンティックマーケティングの方法論と、具体的な活用事例を見ていきましょう。



2. 動画の活用方法と具体的な事例


デスクトップパソコンの前に座る男女

2.1 動画の活用方法について

動画を使ったマーケティング施策は、企業や経営者のビジョンや信念を伝える上で、とても効果的な方法です。その中でも、オーセンティックマーケティングを実践するために、このビジョンや信念を題材にした動画を作成し、それをプロモーションすることでファンを増やす方法は、とても大きな効果が期待できます。

 

動画を使ったオーセンティックマーケティングの成功の鍵は、視聴者に共感を与えることです。以下の3つの方法を実践することで、自社のビジョンや信念を共有するファンを増やすことができます。

 

1. ビジョンや信念を共有する人をターゲットにする:自社のビジョンや信念に共感する人をターゲットにすることで、より多くのファンを獲得できます。例えば、環境問題に取り組んでいる企業が、自社の取り組みをストーリーに盛り込んだ動画を制作し、環境問題に関心のある人々をターゲットにプロモーションすることで、より多くの支持を集めることができます。

 

2. 自社のビジョンや信念を明確に打ち出す:動画のストーリーには、自社のビジョンや信念を明確に盛り込むことが重要です。例えば、スポーツウェアブランドが、自社の商品を使って挑戦する人々を応援するストーリーを制作し、自社の「挑戦する人々を支える」というビジョンを表現することで、より多くのファンを獲得することができます。

 

3. 複数の動画プラットフォームを活用する:動画を制作したらYouTubeだけではなく、Facebook, Instagram, Twitterといった他の動画プラットフォームを活用しましょう。特に、Covid-19以降、オンラインでのコンテンツ消費が増加しており、これらの動画プラットフォームは、より多くの人々にアクセスされるようになってきています。これらの動画プラットフォームを上手く活用することにより、より多くのファンを獲得し、自社のブランディングにつなげることができます。


2.2 動画を使った具体的なマーケティング施策

企業がマーケティング施策に動画を取り入れるのは、短い時間内に多くの情報を伝えることができるからです。例えば、企業のビジョンや信念を文章で説明するよりも、映像で表現することでより分かりやすく、印象に残るものにすることができます。

 

近年、消費者は企業の社会的責任や環境に対する姿勢に注目し、それに基づいてブランド選びをする傾向にあります。自社のビジョンや信念を動画に盛り込むことで、企業が真摯に社会問題に取り組んでいる姿勢を示すことができ、消費者に信頼感を与えることができます。

 

それでは、動画を活用した具体的なマーケティング施策を、いくつか見ていきましょう。

Nike:Nikeは多くの動画を制作していますが、その中でも代表的なものに「Unlimited You」というシリーズがあります。このシリーズは、オリンピックやパラリンピックに出場するアスリートたちの姿を描いたもので、それぞれのアスリートが困難に立ち向かい、自分の可能性を信じて挑戦し続ける姿勢を表現しています。このシリーズは、Nikeのコアなファンにはもちろん、スポーツやトレーニングに興味がある人々にも広く支持されました。

 

Coca-Cola:ご承知の通りCoca-Colaは、世界中で親しまれている飲料メーカーであり、多くの人々に愛されるブランドです。Coca-Colaは、動画を通じて、人々の心をつかむために、様々なキャンペーンを展開しています。その中でも、特に印象的だったのが「Share a Coke」というキャンペーンです。このキャンペーンでは、人々の名前が入ったコカ・コーラの瓶や缶を販売し、人々が自分や友人の名前の入った製品を購入して、それをシェアすることを促しました。このキャンペーンは、人々の共感を呼び、大きな反響を呼びました。

Patagonia:Patagoniaはアウトドアブランドとして知られており、自然環境保護に熱心な企業です。Patagoniaは、自社のビジョンや信念を表現するために、動画を活用しています。例えば、「The Fight For Public Lands」という動画は、アメリカ合衆国の公共地を守るための取り組みを描いたもので、企業が自分たちが信じることについて、率直に表現することの大切さを訴えました。



3. 動画のメリットとデメリット


動画のメリットとデメリット

3.1 動画を使った場合のメリット

動画を使ったマーケティング施策には、多くのメリットがあります。ここでは、この方法論を採用したときのメリットについて、詳しく解説していきます。

 

1. 視覚的な表現でブランドイメージが向上:動画は映像を使ってストーリーを伝えるため、視覚的にインパクトのあるメッセージを伝えることができます。自社のビジョンや信念を盛り込んだストーリーを動画にすることで、消費者に対して自社の価値観やブランドの姿勢を伝えることができます。 また、視聴者はストーリーの中で自社の製品やサービスを使用している場面を見ることができ、自然な形で商品やサービスのイメージを構築することができます。このように視覚的に伝えることによって、ブランドイメージの向上につながることが期待できます。

 

2. 共感できるストーリーでファンが増加:動画は共感できるストーリーを伝えることができます。視聴者は自分自身をストーリーの主人公に置き換えることができ、共感することで親近感を感じることができます。そのため、共感できるストーリーを通じて、視聴者は自社ブランドに対する好感度を高め、ファンの増加につながることが期待できます。

 

3. 商品やサービスの理解が深まり購買意欲が高まる:動画は商品やサービスを使ってストーリーを構成することができます。視聴者は動画を見ることで、その使い方や特徴を実際に見ることができます。これによって商品やサービスに対する理解が深まり、視聴者の購買意欲を高めることができます。

 

以上のように、動画を使ったマーケティング施策には、多くのメリットがあります。自社のビジネスに合ったストーリーを構成し、視聴者に訴求することで、商品やサービスをより効果的にアピールすることができます。さらに、SNSや動画プラットフォームなどを活用することで、広く多くの人々に情報を発信することができます。動画を上手に活用することで、競争の激しいビジネスの世界で差別化を図り、顧客獲得や売上アップにつなげることがでるのです。


3.2 動画を使わなかった場合のデメリット

今度は動画を使わなかった場合のデメリットを見ていきましょう。動画を使ったマーケティング施策を採用しなかった場合、ブランドや商品の認知度の低下、ならびに顧客との共感の獲得の難しさなど、さまざまなデメリットが発生します。

 

1. ブランド認知度が低下する:まず、動画を使ったマーケティング施策を採用しなかった場合、ブランドの認知度が低下する可能性があります。現在、動画コンテンツは多くのユーザーに親しまれ、広告主も積極的に活用しています。そういった状況の中で、動画コンテンツを使わないマーケティング施策では、認知度を高めることが難しくなるでしょう。

 

2. ファンの獲得が困難になる:また、動画を使ったマーケティング施策は、共感を得ることができるストーリーを通じて、ファンの獲得につながることができます。一方で、共感を得ることができないマーケティング施策では、ファンの獲得が難しくなると考えられます。顧客との共感が得られることで、ファンの増加につながり、ブランドの信頼性やロイヤルティを高めることができます。

 

3. トレンドを逸することによる機会損失:最後に、動画マーケティングのトレンドを逸することで、競合他社に差をつけられる可能性があります。現在、多くの企業が動画マーケティングを積極的に活用しています。もし、動画マーケティングのトレンドを逸してしまった場合、競合他社との差をつけることができなくなり、マーケットシェアを失う可能性があります。

 

以上のように、動画を使ったマーケティング施策を採用しなかった場合、認知度の低下やファンの獲得の難しさなど、多くのデメリットが考えられます。今後、より多くの企業が動画マーケティングを活用する中で、競合他社と差をつけるためにも、動画を使ったマーケティング施策を検討することが必要であると言えます。



4. 動画を制作するにあたって


ビデオ撮影用の黒いカメラ

4.1 ドキュメンタリー番組を見よう

感動や共感を与えるためのストーリー作りをするために、ドキュメンタリー番組の視聴をお勧めします。

 

主人公が成功者で、社会的に注目されるような仕事や活動をしている場合、その仕事や活動について学ぶことができるでしょう。視聴者は、その仕事や活動についての知識を深めることができ、新しい発見や気づきを得ることができます。

 

ただ、主人公が成功者でなくても、感動を与えることはできます。売れない芸人、田舎から出てきた板前、リストラされたサラリーマン、彼らが苦境に陥ったり、困難を乗り越えたりする姿勢は、視聴者に勇気や希望を与えます。そのようなストーリーは、視聴者にとって感動的であり、共感や理解を得ることができるのです。

 

また、成功者でない主人公のストーリーは、視聴者にとって身近であり、共感しやすいという特徴があります。成功者のストーリーは、一般的に高いハードルがあるため、視聴者にとって敷居が高く感じられることがあります。しかし、成功者でない主人公のストーリーは、視聴者が自分自身と重ね合わせて考えることができ、感動をより深く味わうことができます。

 

以上のように、ドキュメンタリー番組の構成を詳しく見ていくことは、感動を与えるストーリーを作るヒントになるのです。


4.2 絶対に外せない4つのポイント

動画マーケティングは、現代のマーケティング手法の一つとして急速に注目を集めています。以下に、方法論を具体的に実践する際に注意するべき点を紹介します。

 

1. ストーリーにビジョンや信念を盛り込む:視聴者は、企業がどのようなビジョンや信念を持っているかを知りたがっています。そのため、動画内で自社のビジョンや信念を明確に表現することが重要です。企業がどのようなことを大切にしているのかを伝えることで、視聴者は企業との共感を感じることができます。共感を得ることで、視聴者は企業に対して好感を持ち、商品やサービスに興味を持つようになるでしょう。

 

2. 動画の長さは2分以内:動画の長さは、視聴者が飽きるかどうかに大きく影響します。一般的に、視聴者の集中力は約2分程度でピークを迎えます。そのため、動画の長さは2分程度に抑えることが望ましいです。ただし、必要に応じて長さを変更することもできます。視聴者が興味を持ち続けることができるように、動画の内容を工夫することも重要です。

 

3. わかりやすく伝える:動画内で伝えたいことを明確にし、わかりやすく伝えることが重要です。視聴者が動画を見て何を得ることができるのか、どのような問題を解決することができるのかを伝えることで、視聴者は商品やサービスに興味を持つようになるでしょう。

 

4. 映像や音声のクオリティ:動画制作において、映像や音声がある一定のクオリティに達している必要があります。クオリティの低い動画は不快感を与え、ブランドイメージに悪影響を与えます。映像は撮影や編集技術が求められるため、自社内で制作する場合は、専門的な知識やスキルを持った人材が必要です。また、外部委託する場合は信頼できる会社を選定することが大切です。


4.2 動画制作の4つのステップ

動画制作する際の、具体的なプロセスをご紹介します。以下の4つのステップを踏むことで、自社のビジョンや信念を伝える動画を作成することができます。

 

1. 動画のストーリーを作成する:まずは、自社のビジョンや信念に基づいたストーリーを作成します。自社の思いや理念をしっかりと盛り込み、共感を呼ぶストーリーに仕上げましょう。ストーリーは短く分かりやすく、視聴者が感情移入しやすいものが望ましいです。

 

2. ストーリーボードを作成する:ストーリーをイメージしやすくするために、ストーリーボードを作成します。ストーリーボードは、映像のシーンを静止画で表したもので、カメラアングルや映像の流れをイメージすることができます。細部まで緻密に設計することで、スムーズな映像制作に繋がります。

 

3. 映像制作ツールを利用して動画制作する:ストーリーボードが完成したら、映像制作ツールを利用して動画を制作します。映像制作ツールには、Adobe Premiere、Final Cut Pro、Davinci Resolveなどがあります。映像のクオリティを高めるために、音楽や効果音、テキストなども追加しましょう。また制作を外部に委託する場合は、ブランドイメージやマーケティング施策を十分に説明しておくことが大切です。

 

4. WebサイトやSNSで動画を公開する:制作した動画をWebサイトやSNSなどで公開しましょう。公開する際には、自社のビジョンや信念を伝えるメッセージを合わせて掲載することで、視聴者が共感しやすくなります。また、SNS広告やYouTube広告などを活用して、より多くの人に見てもらいましょう。

 

以上が、動画を使ったマーケティング施策を行うためのプロセスです。自社の思いを伝えるストーリーを制作し、効果的なマーケティングを行いましょう。



5. まとめ


笑顔で握手をする二人の男性

5.1 オーセンティックマーケティングが主流に

消費者の購買行動が、安いものや品質の良いものを購入するというものから、価値観を共有できるものを購入するという方向に変わってきています。

 

今後はこのオーセンティックマーケティングがさらに注目を集めていくことになるのは間違いありません。このオーセンティックマーケティングを実践するにあったって、動画はとても効果的なツールです。動画を上手く活用して、企業や経営者のビジョンや信念を伝えて、ファンを増やしていきましょう。