
宮崎 祥一 | Shoichi Miyazaki
Honeywell、Experian、Teradata、Avanade、SAS Institute などの国際企業において、ビジネス開発を担当。
現在、株式会社アルファブランディング 代表。

今日の論点
日本酒のブランド価値を高める方法
日本酒って素晴らしい文化ですよね。でも、その良さが伝わりきれていないと感じたことはありませんか?
特に若い世代や海外の人たちにとって、日本酒は「難しい」「敷居が高い」イメージがつきまとっているようです。この記事では、そんな課題を乗り越え、日本酒のブランド価値をもっと多くの人に伝える方法について考えていきます。
「パラメーターが多すぎて選べない」という声や、「もっとシンプルに良さを伝えたい」という思いに寄り添いながら、具体的な解決策をお届けします。
蔵元の「信念」をどうやって伝えるのか?
これからのマーケティングで何を意識すればいいのか?
そんなヒントを見つけていただけたら嬉しいです。
目次
1-1. 背景:清酒業界を取り巻く現状
1-2. 課題:複雑な選択肢と共感の欠如
2. 課題の構造
2-1. 国内消費者の行動変化
2-2. ブランドメッセージの不足
3. 事例紹介
3-1. 海外での成功例:獺祭(Dassai)
3-2. 他業界の参考例:クラフトビール
4. 解決策
4-1. オーセンティックマーケティングの活用
4-2. 消費者体験の強化
5. まとめ
5-1. 伝統と共感を基軸としたブランド構築の重要性
1. 課題と背景
1-1. 背景:清酒業界を取り巻く現状
清酒業界は、歴史の深さと同時に大きな変化の中にあります。全国に1,200以上の清酒メーカーが存在し、その多くが100年以上の歴史を持つ老舗企業です。一方で、業界全体の売上高は近年横ばいの状態が続いており、特に国内市場では厳しい状況が見られます。
主な課題として挙げられるのが、若年層の「日本酒離れ」です。ビールや缶チューハイなどの手軽な選択肢、さらにはクラフトビールやハイボールといったトレンド商品に消費者が流れています。その結果、清酒の国内消費量は減少傾向が続いています。
一方、海外市場では成長の兆しが見られます。日本酒の輸出量は年々増加し、特にアメリカやアジア市場では需要が高まっています。しかし、現時点では全体の出荷量の数パーセントに過ぎず、業界全体を押し上げるほどのボリュームには至っていません。
また、国内市場に目を向けると、消費者が日本酒を「分かりにくい」と感じている現状もあります。ラベルに記載された「特定名称」「精米歩合」「日本酒度」といった専門用語が複雑で、購入時に迷う要因となっています。こうした背景が、日本酒が消費者の選択肢から外れてしまう一因になっているのです。
清酒業界は今、伝統を守りながらも新たな価値を生み出し、広く伝える方法を模索しています。そのためには、商品自体の良さを伝えるだけでなく、消費者に共感されるブランドとしての物語が必要なのです。
1-2. 課題:複雑な選択肢と共感の欠如
日本酒を選ぶとき、消費者はどのように判断しているのでしょうか?多くの場合、ラベルやPOPに書かれた情報を手掛かりにしていますが、その内容が難解すぎて困惑する人も少なくありません。
日本酒は「特定名称」「精米歩合」「日本酒度」「酸度」など、多くのパラメータで分類されます。たとえば、精米歩合はお米の磨き具合を示し、数値が小さいほど高品質とされています。一方、日本酒度や酸度は味わいを数値で表現したものですが、初めて目にする人にとっては直感的に理解しにくい要素です。これらの情報が複雑に絡み合う結果、消費者は「どれを選べば良いのか分からない」という状態に陥ります。
さらに、日本酒が消費者にとって「身近な存在」になっていないことも課題です。特に若年層にとっては、「日本酒は年配の人の飲み物」というイメージが根強く、新しい体験や価値を感じる機会が少ないのが現状です。その結果、ビールやワイン、ハイボールといった手軽で馴染みのある選択肢に流れてしまうのです。
もう一つの大きな課題は、「共感を得るブランドメッセージの欠如」です。現在、多くの清酒メーカーが製品スペックや製造方法に注力した情報発信を行っていますが、消費者の心に刺さる「信念」や「ストーリー」が伝えきれていないケースが目立ちます。複雑な情報に頼るだけでは、共感や感情的なつながりを生むのは難しいのです。
このような状況を打破するには、消費者が自分自身の価値観と結びつけられるような、シンプルで共感性の高いメッセージを発信する必要があります。選択肢を整理し、ブランドとしての「物語」や「信念」を明確にすることが、今後の日本酒の市場拡大には欠かせません。
2. 課題の構造
2-1. 国内消費者の行動変化
国内市場では、消費者の嗜好が多様化し、日本酒を取り巻く環境に大きな変化が起きています。この変化の中心にあるのは、若年層の消費行動の変化です。
1. 若年層の「手軽さ」志向
若い世代にとって、アルコール飲料は「気軽に楽しめること」が重要な要素となっています。缶チューハイやハイボール、さらにはクラフトビールなどの手軽さやカジュアルなイメージを持つ商品が人気を集めています。一方、日本酒は「敷居が高い」「飲み方が分からない」といったイメージがつきまとい、選ばれる機会が減少しています。
2. 健康志向の高まり
健康意識の高まりも消費行動に影響を与えています。低アルコールや糖質ゼロをうたった商品が市場で注目される中、日本酒は「カロリーが高い」「健康に悪そう」といったイメージで敬遠されることもあります。実際には日本酒にも糖質控えめや低アルコールの種類が存在しますが、その情報が十分に伝わっていないのが現状です。
3. 消費者体験の重視
近年、消費者は商品そのものだけでなく、その背景にある体験や物語に価値を感じるようになっています。たとえば、「作り手のストーリー」や「地域の魅力」が反映された商品は共感を得やすい傾向にあります。しかし、日本酒は多くの魅力的な物語を持ちながら、それが十分に伝えきれていない場合が多いのです。
4. デジタル世代との接点不足
SNSやオンラインショッピングが当たり前になった現代において、デジタル上での情報発信や消費者との対話が不足している点も課題です。若年層はインスタグラムやYouTubeを通じて情報を収集し、選択を行う傾向がありますが、こうしたプラットフォームでの日本酒の存在感はまだ限定的です。
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消費者の行動変化を踏まえると、日本酒業界は「手軽さ」と「共感性」を両立させたマーケティングが必要です。また、デジタルチャネルを活用し、若い世代との接点を増やすことで、新たな市場を開拓する余地が十分にあります。
2-2. ブランドメッセージの不足
多くの清酒メーカーが、日本酒の「品質」や「伝統」を訴求していますが、それだけでは消費者の心に響くブランドメッセージとしては十分ではありません。現代の消費者は、単なるスペックや歴史以上に、共感できる「ストーリー」や「信念」を求めています。
1. 技術やスペックに偏重した情報発信
日本酒は、精米歩合や日本酒度、特定名称といった専門的な要素が多く、これらが情報発信の中心になりがちです。しかし、こうした技術的な情報だけでは、消費者に感情的なつながりを生むことは難しいのが現状です。特に日本酒初心者や若い世代にとって、専門用語は「分かりにくい」「難しい」と感じられる要因となっています。
2. 他ブランドとの差別化の難しさ
日本酒業界には多くのブランドが存在しますが、その多くが似たようなメッセージを発信しているため、消費者には差別化が難しく感じられることがあります。たとえば、「地元産の米を使用」「伝統の製法」といった特徴は、多くの蔵元がアピールするポイントであり、それだけでは独自性が伝わりにくいのです。
3. 信念や物語の欠如
ブランドとしての「信念」や「物語」が消費者に伝わっていない点も課題です。どのような想いで酒造りを行っているのか、どんな背景がその製品に込められているのかといった点がしっかりと語られれば、消費者は製品に対してより深い共感を抱くことができます。しかし、こうした「感情に響く」情報が不足しているため、多くのブランドが消費者とのつながりを十分に築けていません。
4. 新しい世代へのリーチ不足
若い世代の消費者は、単なる商品の購入ではなく、ブランド体験を重視する傾向があります。しかし、多くの清酒メーカーは、こうした世代に向けたSNSやデジタルメディアを活用した戦略を十分に展開できていません。その結果、ブランドが「古い」「自分とは関係がない」と思われてしまうリスクがあります。
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ブランドメッセージを再構築するには、「自社ならではの信念」を明確にし、それを消費者が共感できる形で伝えることが重要です。物語性を持った情報発信を通じて、他ブランドとの差別化を図り、消費者との強い絆を築く必要があります。
3. 事例紹介
3-1. 海外での成功例:獺祭(Dassai)
日本酒の海外市場における成功例として、山口県の旭酒造が展開する「獺祭(Dassai)」は特筆すべき存在です。獺祭は、日本酒の高品質を象徴する純米大吟醸酒を主軸としながら、国内外で圧倒的なブランド認知を確立しました。
1. 品質への徹底したこだわり
獺祭の特徴の一つは、製品品質への妥協のない姿勢です。精米歩合23%の「獺祭 磨き二割三分」など、最高級の品質を追求する商品ラインナップは、海外市場において「日本酒=プレミアム飲料」というイメージを浸透させることに成功しました。この品質へのこだわりが、海外の富裕層や高級レストランでの人気につながっています。
2. 分かりやすさとモダンなブランドイメージ
獺祭は従来の日本酒のイメージを刷新しました。商品名やラベルデザインがシンプルで、特定名称や専門用語に頼らず、「磨き二割三分」のように直感的に分かる表現を採用しています。これにより、日本酒に詳しくない海外消費者でも容易にその価値を理解できるようになりました。また、スタイリッシュなデザインとモダンなブランドイメージは、若い世代や新しい層の顧客を引きつけています。
3. 海外展開の戦略的な取り組み
旭酒造は、日本酒の伝統を守りつつ、積極的に海外市場への進出を進めました。特に、アメリカやフランスといった主要市場での展開に力を入れ、高級レストランやワインショップでの取り扱いを増やしました。さらに、現地消費者に直接アプローチするイベントやプロモーションを実施し、ブランドの認知とファン層の拡大を図っています。
4. メディア活用とストーリーテリング
獺祭は、創業者の想いや「挑戦する酒蔵」というストーリーをメディアやマーケティング活動を通じて積極的に発信しています。このストーリー性が消費者の共感を呼び、ブランドへの信頼感を高めています。海外では、日本酒というカテゴリーを超え、「日本の文化」そのものを体現する存在として評価されています。
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獺祭の成功は、日本酒がグローバル市場でブランド価値を高めるためのヒントを多く提供しています。「品質」「シンプルなメッセージ」「ストーリー性」を柱とした戦略は、他の清酒メーカーにも参考になるでしょう。
3-2. 他業界の参考例:クラフトビール
クラフトビール業界は、日本酒業界と共通点が多い一方で、ブランド戦略において独自の成功を収めています。特に、小規模ながらも地域色やストーリーを活かして新たな顧客層を獲得している点は、日本酒業界にとっても参考になる部分が多いでしょう。
1. 地域性を前面に押し出した差別化
クラフトビールの多くは、地域の原材料や地元文化を活用して独自性をアピールしています。たとえば、地元産のホップやフルーツを使ったビールや、地域名を冠した商品などが、消費者に「その土地ならでは」の魅力を伝えています。これにより、単なる商品としてではなく、地域文化の象徴としての価値が生まれています。
2. 小規模生産ならではのストーリー性
クラフトビールメーカーは、自社の「ストーリー」を積極的に発信しています。たとえば、創業者の情熱や製造過程へのこだわりを消費者に伝えることで、単なる商品の販売ではなく、ブランドとしての物語を構築しています。このストーリー性は、消費者が商品に感情的なつながりを持つ大きな要因となっています。
3. コミュニティとの密接なつながり
クラフトビール業界では、地元のイベントやフェスティバルで試飲会を開催したり、醸造所の見学ツアーを実施するなど、消費者と直接的に接触する機会を積極的に作っています。これにより、消費者に「体験」を提供し、ブランドへの忠誠心を高めています。
4. SNS活用によるブランド拡散
SNSを活用したマーケティングもクラフトビール業界の成功要因の一つです。商品のビジュアルや製造工程、地元の風景を効果的に発信することで、オンライン上での話題性を高めています。また、インフルエンサーとの連携により、新たな顧客層を取り込むことにも成功しています。
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クラフトビール業界の成功例から学べるのは、「地域性」「ストーリー性」「体験提供」「デジタル活用」の重要性です。日本酒業界も、蔵元ごとの物語を明確にし、地域資源を活かした商品作りと発信を行うことで、消費者との感情的なつながりを強化することができます。また、試飲イベントやSNSでの発信を通じて、より多くの消費者に日本酒の魅力を届けることが可能です
4. 解決策
4-1. オーセンティックマーケティングの活用
日本酒のブランド価値を高めるためには、単なる商品の特徴やスペックを伝えるだけでなく、ブランドの「本質」を消費者に届ける必要があります。そのための鍵となるのが、オーセンティックマーケティング(Authentic Marketing)です。この手法では、ブランドの一貫性、透明性、共感、誠実さを軸に、消費者と感情的なつながりを築くことを目指します。
1. 一貫性:ブランドの核を明確にする
日本酒のブランディングでは、蔵元としての「核となる価値観」を一貫して発信することが重要です。たとえば、「手作りへのこだわり」や「地域資源を活かした酒造り」といった信念を全てのコミュニケーション活動で伝えることで、ブランドのアイデンティティが消費者にしっかりと伝わります。一貫性を保つことで、消費者の信頼感を深めることが可能です。
2. 透明性:製品の背景をオープンに
透明性は、特に現代の消費者が重視する要素の一つです。日本酒の場合、使用する原料や製造工程をオープンにし、その魅力を伝えることで、ブランドへの信頼を築くことができます。たとえば、SNSやイベントを通じて酒造りの現場を公開したり、使用するお米や水について詳しく説明するなど、透明性のある情報発信が効果的です。
3. 共感:消費者と価値観を共有する
消費者に選ばれるブランドになるためには、共感を呼ぶストーリーが欠かせません。たとえば、「地域の伝統を守り続ける姿勢」や「家族代々受け継がれる製法への誇り」といったメッセージは、消費者の心に響きやすい要素です。また、環境への配慮や地元コミュニティへの貢献といった、現代的な価値観を取り入れることも共感を生むポイントになります。
4. 誠実さ:飾らない本物の魅力を伝える
誠実さは、ブランドと消費者の間に強い絆を生む要素です。たとえば、過剰な広告表現を避け、真摯に自社のストーリーや製品の価値を伝えることが重要です。派手な演出ではなく、蔵元の地道な努力や情熱を真摯に伝えることで、消費者はブランドを「本物」として受け入れるようになります。
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オーセンティックマーケティングは、消費者の感情に響くブランドを作り上げるための強力なツールです。日本酒業界においては、伝統や地域性を活かしつつ、現代の価値観と調和させたストーリーを発信することで、ブランド価値をさらに高めることができるでしょう。
4-2. 消費者体験の強化
商品だけでなく「体験」を提供することは、現代のマーケティングで欠かせない要素です。特に日本酒のように豊かな文化や伝統を背景に持つ商品は、体験を通じて消費者に価値を伝えることで、深い感動や共感を与えることができます。
1. 試飲イベントでブランドの魅力を直接伝える
日本酒は味や香りといった感覚的な要素が重要です。蔵元やイベントスペースでの試飲会を開催し、消費者が直接日本酒の魅力に触れる機会を作ることが有効です。試飲だけでなく、製造工程を見学できるツアーを組み合わせれば、製品への理解と信頼をさらに深めることができます。
2. SNSを活用したデジタル体験の提供
若い世代を中心に、SNSやオンラインコンテンツは重要な接点となっています。インスタグラムやYouTubeなどを活用し、製造の舞台裏や蔵元の日常を映した動画、または地域の風景とともに楽しむ日本酒の提案を発信することで、消費者に「つながり」を感じさせることができます。また、ライブ配信によるオンライン試飲会や、消費者が投稿した写真をリポストするキャンペーンなど、参加型の施策も効果的です。
3. 地域文化と連携した体験型プロモーション
日本酒の魅力を伝えるには、その地域文化との連携が欠かせません。たとえば、地域の祭りやイベントに日本酒を提供し、消費者がその文化に触れる中で自然と日本酒に親しむ仕組みを作ることができます。また、地域の食材とペアリングした特別なディナーイベントを開催することで、消費者に「日本酒が生活を彩る存在」であることを実感してもらえます。
4. 店舗での購入体験をアップグレード
店舗での日本酒購入体験を向上させることも重要です。商品ラベルやPOPでの分かりやすい説明はもちろん、スタッフによる丁寧な案内や試飲コーナーの設置で、消費者に「自分にぴったりの一本」を見つけてもらえる環境を整えます。また、QRコードを活用し、製品の背景や作り手の思いをスマートフォンで手軽に閲覧できる仕組みを導入すれば、商品の魅力がさらに深く伝わります。
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消費者体験を強化することで、日本酒は単なる商品ではなく、「生活を豊かにする存在」として認識されるようになります。これにより、ブランドへの愛着が生まれ、消費者は価格以上の価値を感じるようになるでしょう。
5. まとめ
5-1. 伝統と共感を基軸としたブランド構築の重要性
日本酒業界が直面する課題を乗り越え、次世代にその魅力を伝えるためには、「伝統」と「共感」を基軸としたブランド構築が不可欠です。製品のスペックや特徴だけでなく、消費者が「共感」できる物語を伝えることで、単なる商品以上の価値を提供することが可能になります。
1. 伝統を未来へつなぐ役割
日本酒には、何世代にもわたって受け継がれてきた伝統や技術が詰まっています。この伝統は、単なる製造工程ではなく、日本文化の一部であり、地域のアイデンティティそのものです。しかし、伝統を守るだけでは、消費者にその価値を十分に伝えることは難しいため、現代的な要素を取り入れつつ未来に向けて発信していくことが必要です。
2. 共感がブランド価値を高める
消費者は、単なる商品スペックよりも、その背景にある「人」や「物語」に心を動かされます。たとえば、家族代々続く蔵元の歴史や、地域への貢献といったエピソードが語られることで、消費者はそのブランドに親近感を抱きます。特に若年層や海外の消費者にとって、こうした共感を呼ぶ物語が購入の決め手になることが多いのです。
3. ブランド構築における一貫性の重要性
共感を呼ぶブランドメッセージは、一貫性があって初めて効果を発揮します。蔵元の信念や価値観が、製品のラベル、店舗の雰囲気、オンラインでの情報発信すべてにおいて統一されていることで、消費者はそのブランドを信頼しやすくなります。一貫したメッセージは、消費者との長期的な関係構築にもつながります。
4. 価格競争からの脱却
「伝統」と「共感」を基軸としたブランド構築は、価格競争からの脱却を可能にします。消費者が価格以上の価値を感じるブランドを作ることで、「安さ」ではなく「ストーリー」や「信念」で選ばれる存在となります。これにより、ブランドの収益性を向上させ、持続可能な成長が期待できます。
日本酒のブランド価値を高めるには、消費者にとって共感できるストーリーを持ち、かつ伝統を大切にしながら現代の価値観に適応することが重要です。蔵元としての強みや背景を活かしたブランド構築に取り組むことで、消費者の心に深く響く存在となるでしょう。
📝 居酒屋で
客「日本酒、ひやで。」
店員「常温ですか?」
客「そう、ひやで。」
店員(なに言うとんねん)
余談ですが、日本酒で言う「ひや」は「常温」のことではなく、「ひやおろし」を指します。一度火入れした日本酒を夏の間に熟成させ、秋に氷室(ひむろ)から出すので「ひやおろし」。「秋あがり」とも呼ばれ、熟成によって深まった味わいが特徴。季節の移ろいを感じながら楽しむ日本酒です・・・いま1月なので、まだまだ先なのですが。
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