B2Bこそ顧客の調査を徹底しろ!


今日の論点

消費者に直接販売するビジネスモデルをB2C(Business to Customer)、消費者ではなく企業に販売するビジネスモデルをB2B(Business to Business)と言うことはご存知の通りです。

 

B2Bは消費者の情報を直接取得できないため、顧客の調査・研究に消極的でしたが、ここ数年で状況が変わってきました。

 

今回はビール業界での取り組みをベースに、B2Bでの顧客の調査・研究について考えてみたいと思います。


B2Bこそ顧客情報を活用しろ! クチコミ客を増やすブランド戦略 アルファブランディング

ビール会社がデジタルマーケティングに力を注ぐ理由とは

国内ビール大手3社の広告宣伝費

会社名 広告宣伝費 売上高

売上高

広告費比率

キリン 629億円 2兆750億円  3.0%
サントリー 502億円 1兆4,107億円 3.5%
アサヒ 480億円 1兆7,069億円  2,8%

出展:東洋経済オンライン 2017年9月10日

これはビール大手3社が年間に使っている広告宣伝費です。テレビ、ラジオ、新聞、雑誌といった4マスを中心に、全国的なプロモーション活動を展開されているため、広告宣伝費もかなりの金額となっています。

 

これだけ巨額な金額を広告宣伝に突っ込んでいるのですから、さぞかし精緻なプロモーションをされていると思いたくなりますが、どうやらそうでもなさそうです。

 

ビールに限ったことではないのですが、商品ブランドごとにブランドマネージャーがアサインされます。しかし、1つのブランドを3〜5年ぐらい担当すると異動になってしまいます。ブランドの全体像を掴んだと思ったら異動になってしまいます。いわゆるジョブローテーションですね。

 

そんなにコロコロ担当を変えては、ブランドのマネジメントなど出来ないのではないかと思われるでしょうが、これが意外と大丈夫なのです。

 

それは広告代理店の古参社員からのサポートがあるからです。広告代理店には、ビール会社を担当して十数年・・・と言うような人がおり、過去の成功も失敗も全て把握しています。従って、新しくブランドマネージャーが着任すれば、まずこの古参社員に教えを乞う訳です。

 

こういう状況が長く続いてきたのですが、2013年に危機感を覚える出来事がありました。それは「アルコール健康障害対策基本法」の制定です。


アルコールの広告規制の可能性

2005年に世界保健機構(WHO)と欧州連合の両団体は、タバコの広告を禁止するよう加盟各国に通達しました。現在、JT(日本たばこ産業)のテレビCMは、喫煙マナーに関するものだけであり、たばこの銘柄をアピールするようなテレビCMは放送されていません。

 

またその後、米国ではアルコール飲料のCMについて一定の制限が設けられ、アルコール飲料を販売している企業のホームページへのアクセスには、年齢制限がかけられるなど、かなり厳しい措置がとられています。

 

そのような中、日本でも2013年に「アルコール健康障害対策基本法」が制定されました。ここで各ビール会社は、これまでのプロモーション方法を改めて見直すことになります。そこで各ビール会社に設立されたのが、デジタルマーケティングを担当する部門です。

 

新しく法律が作られたということは、取りも直さずゲームのルールが変わるということです。ただ、ベッタリと手垢の付いた4マスのプロモーションを改革しようとすると、社内の一部の勢力から反発される可能性があります。

 

そこで白羽の矢が立ったのが、デジタルマーケティングです。当時、クチコミサイトへの書き込みや、ソーシャルメディアの投稿などの分析には、既に着手はしていましたが、分析結果を継続的にフィードバックして、現場の改善につなげるところまでは、至っていませんでした。

 

ほとんど手つかずと言って良い、このデジタルマーケティングに対して、各ビール会社の英才たちが、まず最初に取り組んだのが「カスタマージャーニー」に対する研究です。


カスタマージャーニーとは何か?

カスタマージャーニーとは、狙うべきターゲット(ペルソナ)が、顧客接点でどのような行動を取るのか、時系列を追って分析する手法のことを指します。

 

ビールを例に取ると、テレビCMを見る、スーパーマーケットに陳列された商品を見る、手に取って見る、1缶だけ購入する、気に入ったので一箱買う・・・といったような、顧客とブランドの接点を可視化して、より深くブランドを理解してもらおうという試みです。

 

もっと長いスパンでのカスタマージャーニーも作成されています。学生時代は清涼飲料やお茶などでブランドイメージを構築し、成人を迎えるタイミングでビールやその他のアルコール飲料への移行を促す。結婚して子供ができるとビールから発泡酒へブランドチェンジを促し、記念日には高価なワインへ誘導する・・・と言うようなものです。

 

長く愛飲してもらうためには、どのようなプロセスやプロモーションが必要なのかを理解し、お客様との全ての接点で合格点を取る。それによって、自社のブランドに対して愛着を持っていただき、クチコミでブランドが伝播していく。そういう状態を作る出すことこそが、カスタマージャーニーを研究する理由なのです。


カスタマージャーニーはこう作れ!

それでは、このカスタマージャーニーの作り方を、具体的に見ていきましょう。作成方法はいくつもあるのですが、私どもでお薦めしているのは、下記の3つのステップです。

 

 

Step1.ペルソナの作成

カスタマージャーニーを把握するには、そのカスタマーのことを詳しく知る必要があります。ただターゲット層といったような荒い分類では、カスタマーの具体的な行動をイメージすることが出来ません。そのためにターゲットを更に絞り込んで、人物像まで落とし込みます。この人物像のことを「ペルソナ」と呼んでいます。最初のステップでは、このペルソナを作成します。具体的な方法をご紹介する動画をご用意しております。無料オンラインセミナー「クチコミ客を増やす6つのステップ」の第2回に「ペルソナ」というセッションをご用意しております。詳細の手順につきましては、そちらをご確認ください。

 

 

Step2.顧客接点の洗い出し

ペルソナを作成した後は、そのペルソナが自社の顧客接点で、どのように振る舞うのかを検討します。まずペルソナが自社と接触するポイントを全て洗い出してください。Webサイト、テレビCM、雑誌広告、スーパーマーケットの棚・・・全てを洗い出してください。その顧客接点の全てで合格点を取るには、どうすれば良いのかを考えてください。詳細の手順につきましては、こちらも動画をご用意しております。先ほどの「クチコミ客を増やす6つのステップ」の第5回に「顧客接点」というセッションをご用意しております。そちらも合わせてご確認ください。

 

 

Step3.社内共有するための可視化

ペルソナが顧客接点でどのような行動をとるのか、少しずつですが明らかになってきたと思います。今度はそれを具体的なアクションに落とし込むために、社内で共有する必要があります。それには可視化というプロセスが必要です。文章で説明されるよりも図やフローチャートを使って説明された方が、直感的で解りやすいことはご理解いただけると思います。この可視化については、残念ながら私どもで動画をご提供しておりません。代わりにTom Wujec氏のTEDでの講演「Got a wicked problem? First, tell me how you make tost」をご紹介いたします。トーストを作ることを題材に、プロセスを可視化するには、「ノード」と「矢印」が重要であることを教えてくれます。

 

 

この3つのステップで、カスタマージャーニーを追いかける準備ができました。お客様のとの接点を大切にして、その全てにおいて合格点を取る・・・とても難しいことです。しかしお客様からの信頼を勝ち得るには、近道はありません。毎日コツコツと実績を積み上げてきましょう。