応援される企業を目指せ!


今日の論点

中央区銀座の公立小学校がアルマーニの標準服を採用したとして非難の声が多数あがっており、炎上騒ぎとなっています。

 

その一方、寒波に襲われている福井県では、豪雪で足止めされているドライバーに無料で食事や食料を提供した企業に対して、賛辞の声が上がっています。

 

どちらも善意から始めたことなのですが、一方は叩かれ、一方は賞賛されています。今回は応援される企業と、応援されない企業とのブランディングの違いを考えてみたいと思います。


応援される企業を目指せ! クチコミ客を増やすブランド戦略 アルファブランディング

応援される企業は何をしているのか?

「泰明小学校」と「アルマーニ」

東京都中央区立泰明小学校はアルマーニデザインの標準服を採用しました。その価格が一式で8万円。通常の標準服の3倍以上です。子供の成長を考えると2回は買い換える必要がありますので、合計で24万円必要です。これが高過ぎるとしてネットで炎上するだけではなく、国会でも取り上げられる事態となっています。

 

この泰明小学校は一般の公立小学校とは異なり、特認校と呼ばれる学校です。簡単に言うと、地元だけではなく他の地域からも生徒を受け入れるエリート校です。エリート校なのでエリートらしいアルマーニの服を選択したとのことです。校長の和田利次氏によると「服育」と呼ぶそうです。あまり聞き慣れませんが「食育」の服装版といったところでしょうか。

 

標準服の選定に不正があった訳ではありませんので、校長がご自身の権限内で自由に決めていただければ良いと思います。今回、私が着目したいのは「アルマーニ」についてです。エリート校の校長から「服育」の相談を持ちかけられて、銀座で他に引き受ける企業がないということで、善意から引き受けたにも関わらずバッシングされてしまいました。

 

アルマーニには今まで積み重ねてきたブランド力がありますので、今回の騒動ぐらいではびくともしませんが、善意が裏目に出るなんて、チョットやりきれないと思います。


「餃子の王将」と「山崎製パン」

この「アルマーニ」の標準服が世間に知れ渡るのと同時期に、福井県は記録的な豪雪に襲われ、積雪により立ち往生する車両が多数発生しました。

 

車内で待つしか無いドライバーに対して、「餃子の王将」丸岡店は500人前の食事を無償で届けるなどの支援を行いました。副店長の中山幸紀さんは、阪神淡路大震災のときに兵庫県の「餃子の王将」多田店で炊き出しを行った経験があり、上司と相談した上で、無料提供を決めたそうです。

 

また災害の時にいつも名前を聞く「山崎製パン」ですが、今回も配送トラックの積荷にパンを、周りで足止めをくっているドライバーに無償で配るなどの支援をしました。「山崎製パン」の社内規約では、非常にはドライバーの判断で積荷を配っても良いことになっているそうです。

 

「餃子の王将」も「山崎製パン」も世間では大絶賛を受けています。


同じ善意から出た行動なのに

同じ善意からスタートしているにも関わらず、「アルマーニ」は非難され、「餃子の王将」と「山崎製パン」は絶賛されました。

 

この違いは生活者から寄せられるプラスの声とマイナスの声のの総数によるものだと思います。

 

そもそも「アルマーニ」はブランド力のある企業なので、わざわざ小学生の標準服を作る必要などなかったでしょう。ただ校長から「服育」の説明を受けて、善意でデザインを受けたのだと思います。

 

また泰明小学校に通わせる保護者の意見としては、エリート教育を受けるのだから、アルマーニの服が良いと思う人も少なくなかったのではないでしょうか。決定前に説明会も開いている訳ですし、反対する保護者が多ければ立ち消えになったと思われます。

 

ただ、「アルマーニの標準服を採用」という情報がマスコミ経由で世間に知れ渡ると、直接関係のない人たちが意見を言い始めます。「私の子供が通っている小学校の標準服は2万円なので高すぎる!」という訳です。保護者のプラスの声(マイナスの声もあったでしょうが)と、世間のマイナスの声とを相殺すると、世間の声が圧倒的多数だったのでしょう。

 

一方、「餃子の王将」や「山崎製パン」についても称賛の声だけではありません。「売名行為だ」とか「広告宣伝ではないのか」といった否定的な声も少なからずあります。ただ相殺すると称賛の声が圧倒的に多かったということなのです。


経営理念の強さが明暗を分けた

「餃子の王将」は阪神淡路大震災でも炊き出しを行い、「山崎製パン」は災害のたびに積荷のパンを配っています。「売名行為だと言われても構わない。目の前の人を助けるんだ。」という強い経営理念を感じます。

 

「アルマーニ」としても、「次の日本を支えていくエリートを服育で支援する」という強い理念があれば良かったのでしょうが、それを持たないまま、何となく社会貢献的にスタートさせてしまったことが今回の結果を産んでいると思われます。

 

ブランドというと高級ファッションブランドを思い浮かべる方が多いと思いますが、真のブランドとは自分たちの会社がなぜ存在しているのか、それを明確に指し示すための旗印です。少なくとも「餃子の王将」と「山崎製パン」の旗印は、多くの人から称賛されているのは間違いないでしょう。

 

生活者といかに近い距離で寄り添っているのか、自分たちの経営理念をどういう手段で伝えていくのか、考えさせられる出来事でした。

 

あと、この経営理念についてもう少し詳しく知りたい方は、私どもの無料オンラインセミナー「クチコミ客を増やす6つのステップ」の第1回目に「経営理念」というセッションがあります。もし宜しければ、ご確認いただければ幸いです。