隠れ家的なお店を出してはいけないワケ


今日の論点

人目につかない場所にもかかわらず、小さな看板しか出ていないお店。このような隠れ家的なお店には、一種、独特の雰囲気があり、飲食店の経営を目指す人には、とても魅力的なのではないでしょうか。

 

今回はこの隠れ家的なお店を取り上げ、飲食店のロケーションについて、考えてみたいと思います。 


street : Phot by Megane

店舗は可視性が全て

隠れ家的なお店の魅力

神楽坂の裏路地にある隠れ家的なお店。民家なのか店舗なのか一見しただけでは解らず、表札ほど大きさの看板で、かろうじて店舗であることが認識できる。

 

ほの暗く部外者を寄せ付けない雰囲気が漂う中、重い扉を開けると、暖かい光と丁寧な挨拶で迎えられ、奥の席へ通される。

 

料理人であれば、将来こんなお店を持ちたいと、一度は憧れるのことでしょう。しかしながら、間違っても1軒目に、このような店を出すことを考えてはいけません。確実に潰れてしまいます。


隠れ家的なお店は有名料理人向け

隠れ家的なお店は、その名の通り隠れ家なのですから、通行量の多い表通りを避けて、あまり人が通らない裏通りにあります。当然、家賃が安く初期費用を抑えることができますので、初めて自分のお店を開店する人には、大変魅力的に映ります。だから、隠れ家的なお店を出したい人が多いのです。

 

しかしながら、このようなお店の場合、何もしなければ、お客様は入って来ません。たまたま通りかかった人が、その隠れ家的お店を見て、民家ではなく店舗であることを認識し、なおかつ、オープンしているのか解らないような、暗い雰囲気の扉を開けることなど、絶対にありえないのです。

  

このような隠れ家的なお店をオープンして、軌道に乗せることができる人は、有名店の料理人だけだと思った方が良いでしょう。以前からその料理人を贔屓にしていた人が、友人を連れて来店し、口コミで常連客を増やしていくモデルなのです。

 

素人がこのようなお店を始めて、経営を軌道に乗せるケースもありますが、非常に稀なケースで、そのようなギャンブルに大金を投じるべきではありません。


狙うべきは駅前の一等地ではない

それでは飲食店をオープンする場合において、どのようなロケーションが良いのか考えてみましょう。

 

集客に最も有利な場所は、駅前から徒歩3分以内、大通りに面している1階店舗です。店前通行量が圧倒的に多く、広告を出さなくとも、人がお店に吸い込まれます。

 

ただ、このような好立地の店舗物件は、大手チェーン店しか相手にしませんし、仮に運よく契約できたとしても、高い家賃を考えると、容易に採算化することはできません。絶対に避けるべき物件と言えます。

 


可視性の高い店舗を狙え

従って、探すべき物件は、大通りから少し入った場所か、2階以上の物件ということになります。当然、店前通行量は少なくなりますが、注意して物件を探せば、十分お客様を呼び込むことができるものが見つかります。

 

その際に注意するべき最も大切なポイントは、通行人からどの程度「見えるのか」です。可視性が全てだと思って、物件を探しても良いと思います。

 

具体的に見ていきましょう。まず、大通りから左右に折れた道にある店舗の場合です。お店まで距離があると、大きな看板を出したとしても、通行人はそれを読むことはできません。看板が読めない場合、その通行人にとって、お店は存在していないのと同じことになります。角地から道に入って1軒目までが限界で、2軒以上離れるようであれば、良い物件とは言えず、早々にあきらめた方が良いでしょう。

 

次に店舗が2階以上にある場合です。普段、道を歩く際に上を向いている人はまずいませんので、お店の存在を認識させるには、大通りの路面に立て看板を出す必要があります。他店の看板に埋もれてしまわないか、場所やメニューを掲載するスペースを確保できるか、またそれ以前に、路面に看板を出してよいのかを、確認する必要があります。

 

店舗を探す際には、常にこの「可視性」を念頭において街を歩くと、良い物件が見つけやすくなります。一度、店舗を借りてしまうと、お店が流行らないからと言って、簡単に移転することはできませんので、慎重の上に慎重を重ねて、物件を探しましょう。