高齢化問題と似ているけれど・・・


今日の論点

最近、「限界集落対策」などをキーワードに、検索エンジンからアクセスいただく方が多くなっています。

 

「限界集落」と似た問題に、「シャッター商店街」があります。今回は、その2つが持つ問題の本質について、一緒に考えて行きましょう。

 


: photo by Odyssey

似ているが高齢化が問題ではない

限界集落は人口移動の問題

限界集落とは、過疎化が進んだため、全体の50%以上が65歳以上になった集落を指します。過疎化が進むことで発生する問題なのですが、これは高齢化が原因ではありません。

 

過疎化が進んだ原因は、大きく分けて2つあります。ひとつは、「出生が死亡を下回る」ため人口が減少して行くもの。これは「自然増減」による減少と呼ばれています。

 

また、もうひとつは、「転入者が転出者を下回る」ために人口が減少して行くもの。これは「社会増減」による減少と呼ばれています。原因が全く異なるため、対策も異なります。

 

まず、ひとつ目の「自然増減」の対策としては、出生を増やして死亡を減らすことです。出生率だけを見ると、2014年は「1.4」。出生率が「2.1」を切っている限り、人口減少は止められませんので、まずは、これを改善する必要があります。

 

具体的には、女性が子供を産みやすい環境を整えることです。東京都の出生率は「1.06」と、異常に低いのですが、これは待機児童問題などを含めたや教育環境、また、近所に公園が少ないといった居住環境が、少なからず影響しています。東京都で発生している課題を、地元の地域で起こさせないことが大切です。

 

ふたつ目は「社会増減」です。転入者を増やし転出者を減らす施策を取れば解決に近づきます。まずは「転入者を増やす」ことを考えてみましょう。

 

「田舎でのんびり農業を営みましょう!」のような、リタイアしたシルバー世代を田舎に勧誘するプロモーションを良く見ますが、このような施策は上手くいきません。中高年の転入者を増やしても、社会保障の負担が増すだけで、一向に人口減少は改善されません。

 

子供を産む若い世代を支援することを目的とした、教育制度と居住環境を整備をしなければ、転入者を増やすことは出来ないのです。

 

次に「転出者を減らす」ことを考えてみましょう。田舎から人が都会に移る・・・と言えば、出稼ぎのような感じがしますが、それは昔の話で、現在最も影響が大きいのは「進学」です。自分の住んでいる地域に、適当な大学がないため、東京、大阪、京都、名古屋と言った都会の大学に進学します。これが人口減少の大きな原因のひとつとなっているのです。

 

たとえば、田舎には自分の学力にあった大学がないため、親に頼んで東京の大学に進学。そのまま大手企業に就職。知り合った人と結婚。そのまま東京人になる・・・と言った具合です。

 

容易ではありませんが、地方の主要都市それぞれに、高いレベルの学研都市を作る必要があります。優秀な学生が地元に残れば、その地域で就職する可能性も高まり、長い目で見ると地域経済の活性化にもつながりす。限界集落の問題は、高齢化ではなく人口の移動なのです。


シャッター商店街は不動産の問題

シャッター商店街について、報道番組などで次のようなレポートをご覧になったことがあるのでは・・・。

 

“ ある商店街の小さなお店。1階は店舗で2階は住居。そこで洋服店を営む老女。夫には先立たれ、ひとりでお店を守っていたが、病気がちのため、お店を閉めることに。またシャッターを閉める店舗がひとつ増えた・・・どうなる日本。”

 

何となく、高齢化がシャッター商店街を増やしているような印象を受けますね。でも、現実はかなり異なります。

 

シャッター商店街を見て、素朴に思いませんか?

「なぜ、人に貸さないのか?」

 

貸そうとしても、なかなか借り手がつかない・・・なぜ?

 

新しくお店を開きたい人としては、少しでも綺麗な店舗を、出来る限り安く借りたいと思っています。一方、店舗のオーナーとしては、家賃を高く設定したいため、店舗を修繕し、少しでも資産価値を高める努力をします。しかし、それを阻害する要素がいくつかあります。

 

その中で、私が最も影響が大きいと感じているのは、「空き店舗活用補助金制度」です。3ヶ月間営業していない店舗で新しくお店を開く場合、店舗改装費などの経費について、半額を支給する制度です。もちろん財源はみなさんが支払っている税金です。

 

店舗オーナーとしては、最初の3ヶ月間、家賃を非常に高く設定してさえおけば、誰も借りることが出来ません。これで条件クリアです。その後、家賃を適正価格より少し高く設定し直します。それでも補助金が支払われるため、入居するテナントには困りません。これにより、店舗の価値を高める努力をすることなく、高い収入を得ることが出来るのです。

 

店舗オーナーはこれに味をしめて、店舗の価値を高めることをやめてしまいます。しかしながら、店舗は時間を経ることに、確実に劣化して行きますので、数年後には、もう店舗として使用できなくなります。そうなっては、もう借り手は付きません。

 

それでもなお、店舗オーナーは、修繕することなく新しいテナントを待つ・・・。最終的には売りに出すか、更地にして駐車場にするかのどちらかになります。

 

シャッター商店街の問題は、高齢化にあるのではなく、不動産の問題で、解決するには店舗オーナーの意識を変える必要があるのです。まぁ、一番の問題なのは、税金の使い方にあるのかも知れませんね。