田舎のパン屋が見つけた腐る経済


今日の論点

本屋をブラブラしていますと、ちょっと目を引くタイトルの書籍を見つけました。田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」  腐る経済・・・ん? 

 

ビジネスにおける腐敗を、偶然パン屋さんが見つけたのかなぁ・・・などと思いながら手にしたのですが、全然違いました。

岡山駅から電車で2時間かかる勝山の田舎町で、パン屋タルマーリーさんの奮闘記だったのですが、これがかなり面白い。早速購入して、一気に読んでしまいました。小さなお店を営むための成功事例としても、とても参考になると思いましたので、今回はこのパン屋さんを通じて、一緒にブランディングを考えて行きましょう。

 


田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」

地方でも集客できる方法

パン屋 タルマーリーとは?

パン屋 タルマーリーさんは、もともと2008年に千葉県いすみ市で開業されたのですが、東日本大震災と福島第一原発事故の影響で、2012年に岡山県真庭市勝山に移転されています。

 

自家製の天然酵母を使ったパンを提供しており、特に酒種のための麹菌も自家製という徹底ぶりです。全粒粉酵母の田舎パンが842円(税込)と、銀座や表参道に店を構える、老舗のパン屋なみの高い価格設定です。

 

パンの平均単価は400円、1週間に3日休んで、年に一度は1ヶ月間の長期休暇を取るそうです。これでよくやって行けるよなぁ・・・と思ってしまいますが、私がこのブログを通じてお伝えしている・・・3つのこと・・・を実践されていらっしゃるようです。


1.菌への探求心

イースト菌・・・テレビとかでよく聞きますよね。イースト菌は、酵母菌の中でも発酵する力が強い菌を集めて、純粋培養したもので、誰にでも簡単にパンを膨らませることが出来る、魔法の菌だそうです。普通のパン屋さんは、イースト菌を使ってパンを作ります。あなたの街のパン屋さんも、このイースト菌を使っていると思います。

 

ただ、イースト菌を使ったパンは、味に深みがなく、のっぺりとした味に仕上がってしまいます。まぁ、単一の菌を培養しているのですから、仕方のないところですね。

 

一方、天然酵母菌を使った場合は、そう簡単には膨らみません。温度や湿度を徹底的に管理して、やっとパンが膨らみます。本来、パン屋に求められるものは、この天然酵母菌を管理するプロフェッショナルとしての能力であって、パンを形成して焼くような、だれでも出来る作業ではないのです。

 

タルマーリーさんは、もちろん自家製の天然酵母でパンを焼いているのですが、天然酵母菌に加えて天然麹菌を使ったパンも焼いています。もうパン屋さんというよりも、バイオテクノロジー研究者なみです。この菌に対する強い探究心こそが、このお店を支える力の源になっているのだと思います。 


2.ロケーション

タルマーリーさんが店を構える勝山は、JR岡山駅から2時間かかる、かなりの田舎町です。田舎町だと人口も少なく、来客も少ない・・・そう思ってしまいがちですが、実はそうではありません。

 

この勝山は、もともと出雲街道の宿場町で、今も古い町並みが残る観光地です。観光に力を入れており、お店のそれぞれの軒先には、そのお店を象徴するデザインの暖簾がさがっており、町としての一体感を出しています。過疎の町にお店を構えた訳ではなく、他の地方自治体から視察が来るほど、地域活性化の成功事例として有名な街にお店を構えているのです。

 

以前、「田舎暮らしが癒されないワケ」でも書きましたが、地元住人をターゲットにしてビジネスを始める場合と、観光客をターゲットにする場合とでは、客単価や商品単価が大きく異なるのです。この客単価と商品単価の高さが、このお店を支えてている、ひとつの要因なのだと思います。 


3.SNSでの情報発信

タルマーリーさんもホームページは元より、FacebookTwitterといったSNSでも情報を発信されています。一昔前までは、個人が世界を相手に情報を発信することなど、考えられない事でした。それが今では、ホームページやSNSなどを利用することで、容易になったのです。

 

手間をかけて丁寧に商品を作れば、良いものが出来上がります。せっかく良い良いものを作ったのですから、それをお客様に伝えましょう。そうすれば、遠地からあなたのお店を訪れてくれる人が増えることでしょう。

  • 地域の住人達
  • その地を訪れる観光客
  • SNS経由で集まってくる人々

 これらのお客様を上手く取り込んだことが、この田舎のパン屋 タルマーリーが成功している要因なのかもしれません。