限界集落が復活する方法


今日の論点

限界集落・・・最近良く耳にすると思います。過疎化などで65歳以上の高齢者が人口の50%を超える集落を、限界集落と呼びます。これから少子高齢化がさらに進むことは、間違いありませんので、限界集落が急増する可能性があります。

 

消滅する集落はそのまま放っておけば良いと言う意見もありますが、日本的な里山の風景が無くなってしまうのは、ひとりの日本人として寂しさを感じざるを得ません。今回はこの限界集落について考えてみたいと思います。

 


実効性のある限界集落対策とは?

失敗する地域振興のパターン

各都道府県の行政機関には、地域振興を司る部門が設置されています。限界集落の問題に関しても、真剣に取り組んでいるのですが、成功するケースはとても少ないのが現状です。

 

地域振興の担当部門では、限界集落対策として割り当てられた予算を基に、コンサルタントを雇って地域活性化のプランを策定し、イベントなどを開催します。ゆるキャラなどを作るケースもあり、ちょっとしたお祭り騒ぎです。

 

しかし少し時間が経つと、住民たちの熱気も冷めてしまい、結局コンサルタントとイベント会社が儲けただけで、何も変わらなかったと言うケースが多く見られます。

 

地元の協力がなかったのかと言うと、そういう訳でもなく、一部の有志は積極的にイベントに取り組んでいたりします。それでは一体何が問題なのでしょう? 


地域振興が成功しない理由

地域振興が成功しない理由として、3つのポイントが考えられます。もちろん、これだけが全てではありませんが、今後の対策を考えて行く上で、大切なことだと考えております。ひとつずつ見て行きましょう。

 

  • イベント屋がプランニングをしていないか?
  • 地元の賛同を得られているか?
  • 人口が移動する原因を把握しているか?

イベント屋がプランニング?

地域振興に携わるコンサルタントには、イベント会社の代理人のような人も多く見受けられます。これらの人は、イベントの受注が主業務で、付帯サービスとしてコンサルティングを請け負っています。従ってコンサルティング料は、タダも同然の価格が設定されています。

 

イベントを開催することが悪いと言う訳ではないのですが、誰がどう考えても、毎日お祭り騒ぎをすることは出来ません。イベントが終われば活動も下火となり、最終的には消えてしまいます。

 

地元独自の文化をパッケージングして、全国からファンを継続的に獲得することが大切なのですから、その活動を継続できる仕組み作りが最も大切です。イベントの開催を考えるのは、それからで十分です。 


地元の賛同を得ているか?

冒頭に地域振興に対して、積極的に取り組んで下さる地域住民の方がいると書きましたが、もちろん多くいる訳ではありません。あくまで少数です。

 

地域住民の多くは、その地域に根を張って生活を営んでいます。同じ家に何十年も住み、同じ仕事を毎日続けています。それ故、現状を変えることに対して、あまり消極ではありません。

 

たとえ少数であるとはいえ、現状を変えること対して積極的な人たちがいるのであれば、彼らが中心になって進めて行けば良いと思われるかもしれませんが、そう簡単ではありません。

 

地方に行けば行くほど、住民同士のつながりが濃くなるため、周りの多数意見に同調する傾向にあるため、簡単に物事を決める事ができません。さらに集落の中にはヒエラルキーが存在するため、たったひとりのヒエラルキー上位者が反対しただけで、プランが頓挫することもあります。

 

都会に住んでいる人は見落としがちですが、どうすれば地域の有力者が首を縦に振るのか、この点を検討していないプランは成功しないと言って良いと思います。


人口が移動する原因を把握しているか?

ここで基本的な所に立ち返るのですが、なぜ限界集落が増加しつつあるのか考えてみましょう。

 

まず大きな原因のひとつだと考えられるのが、人口の移動の問題です。若い世代が進学を機に都会へ移動してしまい、そのまま地元に帰って来ません。また、仮に地元の高校や大学に進学したとしても、卒業後の就職では、本社機能が集中している首都圏へ移住するケースが多いため、高齢者世代だけが残ってしまっていると言うことです。

 

あと経済的な問題もあります。ひと昔前であれば、農家の方々は農業収入で得たお金を、近所の商店街で商品を購入していました。しかし大型スーパーマーケットの進出により、より多い品揃えと、より安い価格に魅力を感じた地元の消費者は、近所の商店街での購入を控えるようになります。

 

 

近所の商店街での消費量が減少すると、急速に経営が苦しくなり、お店を閉めざるを得ません。生活のために働き手のお父さんは都会に出稼ぎに行くことになり、最終的には家族全員で転居することになります。地域のお金が、その地域で還流しないことが、雇用を減らし、引いては過疎化を進ませる原因のひとつなのです。


成功するパターンはこれだ!

最初に結論を書いてしまいますが、「都会からUターンしてきた地元の若者たちが中心になって、地域復興の活動をしている」これが成功するパターンです。このUターンの若者たちは、次の3つの武器を携えています。ひとつずつ見て行きましょう。

  1. 都会としての感性を持っている
  2. 部外者ではない
  3. 新しい取り組みに積極的である

1.都会人としての感性を持っている

 京都に住んでいる人が、町家が続く路地を見た場合、どう感じるでしょうか。たまには、町の美しさにハッとさせられる事もあるでしょうが、毎日感動しているとは思えません。その町並みは、住んでいる人たちの日常だからです。私は以前、六本木ヒルズにオフィスを構えている会社に務めていたのですが、凄いと思ったのは最初の2週間だけでした。

 

集落に住んでいる人が、当たり前だと思っている事に、都会人が感動を覚える事も少なくありません。Uターンの若者たちは、地域住民としての感性だけではなく、都会人としての感性も併せ持っています。何がこの集落の特徴なのか、彼らはそれが何なのかを見つける感性を持っているのです。 


2.部外者ではない

東日本大震災依頼、ボランティアなどで地域振興に携わる若者が増えていますが、彼らが活動するに当たってぶつかる大きな壁が「部外者」であると言うことです。

 

特に高齢者層は「部外者」に対して強い拒否感を示します。都会から週末チョット来ただけで、地元の問題が解決できる訳がない。自分たちのボランティア精神を満足させるだけの、お仕着せであれば来ないで欲しい。そう思っている集落のお年寄りは少なくありません。

 

しかしながら、Uターンの若者たちの場合は「部外者」などではありません。お年寄りたちはその若者たちが生まれた時から知っている「身内」なのです。村のことを何も知らないからと言う意見は出てこないのです。

 

また、この若者はこの村を誰が治めているのか、小さい頃から見聞きして知っています。誰が誰と仲が良いのか、集落のことは、どうやって決まっていくのか、そう言う政治的なプロセスを体験として持っているのです。 


3.新しい取り組みに積極的である

若者世代には、新しい取り組みに対する拒否感は殆どありません。特にITテクノロジーに対してはそうです。インターネットやメールを使った事がない若者を、日本国内で探すのは非常に大変な作業です。お年寄りに取っては最近のテクノロジーなので拒否感もありますが、若者にとっては、生まれた時からそばにあったテクノロジーなので、自分の体の一部のように活用できます。これを活用しない手はありません。

 

テレビ、ラジオ、新聞、雑誌と言った、通常4マスと呼ばれる媒体で情報を発信する場合であれば、資本力のある大企業が圧倒的に有利です。しかしながら、ホームページ、ブログ、SNSと言った、新しいテクノロジーであるデジタルマーケティングを利用すれば、大企業と対等に情報を発信することが出来ます。

 

その集落が持っている特徴を、上手くパッケージングして、全国に情報を発信すれば、限界集落であったとしても、復活するチャンスをつかむことが出来ます。

 

全ての準備が整うのを待っていると、いつ実行できるか解りません。プランをドンドン考えて、出来ることから実行する。小さな規模で試行錯誤することが大切です。